2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520374
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
久野 量一 法政大学, 経済学部, 教授 (70409340)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | キューバ / プエルト・リコ |
Research Abstract |
平成25年度は持ち越しとなっていた研究資料の収集につとめた。最終的には当初の予定を完遂することはできなかったが、研究を進めるための資料を整えることはできた。また、国内の研究会にいくつか出席し、口頭発表を行なったり、自分の研究に関してのコメントを発表した。それらの活動とともに、最終的な成果のとりまとめ作業に入り、キューバ革命後の芸術家の表現活動についての分析と考察を経たうえで、論文の執筆を進めた。今年度考察の対象としたのは、革命後、島にとどまって「キューバ性」について思索を続けた表現者のなかで、その後亡命者によるテキスト生成に影響を及ぼしたと考えられるテキストである。このテキストの分析を通じ、キューバにおける「全体主義的体制」を支える文芸思想上の「全体主義的キューバ性」の議論とその影響力の大きさについて実証することができた。キューバをめぐるこのような「分割不能としてのひとつの島」の議論(これをさしあたって「キューバ性」と呼ぶ)は、他のカリブ諸島、とりわけ分断を余儀なくされた「プエルト・リコ性」と比較検討したとき、堅牢なひとつの建造物のようなものとして立ち上がる。20世紀の国民文学論編成を通じ、キューバが作り上げてきたキューバをめぐる概念は、世紀半ばの革命によって、さらに外部の侵入を拒む言論制度になったと言える。また、島の外部において行なわれるキューバ性をめぐる議論は、島の内部とは異なるコンテクストで編み上げられた、やはり堅牢な制度のようなものであり、現在のキューバ文学に関する議論は、島の内と外の双方がそれぞれ「キューバ」の所有権をめぐって争いを続けている状態であることを確認するに至った。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)