2010 Fiscal Year Annual Research Report
サンスクリット語古典のペルシア語訳文献史の基礎的研究
Project/Area Number |
22520380
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Research Institution | Hokkaido Musashi Women's Junior College |
Principal Investigator |
榊 和良 北海道武蔵女子短期大学, 講師 (00441973)
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Keywords | インド思想史 / インド・イスラーム / ペルシア語訳 / 写本 / 国際情報交流 / パキスタン:インド / ヨーガ |
Research Abstract |
平成22年度の研究活動は、学会での発表と意見交換、およびパキスタンにおける写本資料調査を主として行った。「日本宗教学会」でのアジアにおける聖典翻訳の研究者と意見交換することによりイスラーム系言語での聖典翻訳との比較研究の道がひらけ、「日本印度学仏教学会」において仏教タントリズムの写本研究者と意見交換することで、イスラーム系言語写本におけるタントリズムの知識について確証を深めた。「日本南アジア学会」では、「ペルシア語テキストを通して読むヨーガ」と題して、サンスクリット語テキストの変遷や広がりを研究する上でペルシア語資料が占める位置を『ゴーラクシャシャタカ』のペルシア語訳をとりあげて論じた。またウルドゥー語研究者、近代史研究者らとの意見・情報交換により、パキスタンにおける研究者との連絡網を整え、平成22年12月18日~平成23年1月18日、パキスタン国内所蔵ペルシア語写本の実態調査を行い、関連写本を筆写あるいは複写を入手した。調査対象研究機関は、National Museum of Pakistan(カラチ)、Punjab University、Punjab Public Library(ラホール)、Iran Pakistan Persian Research Center(イスラマバード)で、現地の写本調査担当者や関連研究者と、パキスタンとイランにおける当該分野の資料の実態に関して情報交換などを行い、関連刊行物も収集した。複写が認められず限られた時間の中で閲覧することしかできなかった研究機関もあったが、カタログ化されているものであっても、実際の写本の状況および内容に齟齬が見られたり、カタログ化されていないものが存在することなどを確認できた。調査の主題であるサンスクリット語からのペルシア語訳文献の写本の分布状況と、インドや西欧諸国に所蔵されるそれらの写本の書写地との比較から、おおよその伝播の傾向をつかむことができた。今後の分析により、いままで言及されていなかった翻訳作品やそのもとになったサンスクリット語あるいは地方諸語のテキストの研究を進める足掛かりを得られた。
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Research Products
(3 results)