2011 Fiscal Year Annual Research Report
構文の機能拡張と名詞句省略の相互関係に関する認知類型論的研究:アジア言語を対象に
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22520384
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
堀江 薫 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 教授 (70181526)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
パルデシ プラシャント 人間文化研究機構国立国語研究所, 言語対照研究系, 教授 (00374984)
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Keywords | 機能拡張 / 名詞修飾節 / 名詞化構文 / 日韓語 / 語用論的富化 / 複分 / 省略現象 / 社会的類型論 |
Research Abstract |
本年度は、研究代表者(堀江)、分担者(パルデシ)は以下の2点に関する研究を中心に行った。 (I)日韓語の名詞化構文、名詞修飾構文、複文の多機能性・拡張・省略現象の言語類型論・対照言語学的観点からの記述 (II)それを可能にする「語用論的富化」のメカニズムの認知類型論の観点からの解明 (I)は日本語の特徴として従来指摘されながらも他言語、特に類型論的に多くの類似性を見せる韓国語との体系的な対照が行われてこなかったリサーチクエスチョンである。また(II)は、(I)を可能ならしめている認知的基盤の解明という、これまで十分探求されてこなかったリサーチクエスチョンである。 代表者は(I)(II)に関して、基調講演5件、研究発表1件を行い、英文原著論文1件を発表した。また、研究分野の方法論、歴史的展開について概観した展望論文1件を発表した。また、分担者は、特に(II)に関して、日韓語の省略現象や語用論的富化現象を支える心理言語学的基盤に関する実験研究の成果を論文発表した。 これらの活動を総括すると、本年度は、研究成果の発表という第一義的な目標が達成されたのはもとより、特に代表者が国際認知言語学会(2011年7月)、日本語文法学会大会(2011年12月)、社会的能力の発達に関する国際シンポジウム(2012年3月)での基調講演、指定討論の機会を通じて「認知類型論」という創発的研究分野の成果の一端を広く発信することができたことが大きな成果であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
代表者は日本語と韓国語を中心として名詞化構文、名詞修飾構文、複文の多機能性に関して着実に研究成果が上がっており、平成23年度に英文原著論文1点と関連学会発表6件(うち基調講演5件)を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は、来年度、名古屋大学に在籍する研究協力者の協力を得て、日韓語以外の東南アジア言語(特にインドネシア語、マレー語)に対象を拡大し科学研究費に応募する計画である。
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