2012 Fiscal Year Annual Research Report
調和文法に基づいた印欧諸語の曲用パラダイムの共時的変異及び通時的変化の統合的研究
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22520385
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 渉 東北大学, 高等教育開発推進センター, 准教授 (90293117)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 調和文法 / 最適性理論 / パラダイム / 屈折 / 形態論 / 格 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に引き続き、印欧諸語における名詞類(名詞・限定詞・形容詞)の屈折パラダイムを記述するために提案された(パラダイムを構成する)格・数・ジェンダーの3次元に関わる制約群から導く作業を行った。 具体的には、有標性階層(格階層・数階層・ジェンダー階層)から導いた有標性制約及びそれらに拮抗する2種類の忠実性制約のランキング/重みづけから、現代ドイツ語の人称代名詞のパラダイムを派生した。ドイツ語の人称代名詞のパラダイムでは、1人称/2人称・単数及び3人称・単数・男性の代名詞が独立した対格標示を持ち、1人称/2人称・複数の代名詞が対格標示=与格標示であり、それ以外の人称代名詞では全て対格標示=主格標示であるが、統語的な対格素性の3通りの形態的実現(対格、与格、主格)を人称代名詞以外の冠詞・指示代名詞のパラダイムと共通する道具立て(分裂対格・分裂能格現象を分析する際に使用される「有標性同化」)によって分析できることを示した。同じアプローチはドイツ語以外のゲルマン諸語のパラダイムにも適用することが可能である。現在、その成果を投稿するべく、改稿作業の最中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
データを集計した後に、どのようなqueryを用いるかが、屈折パラダイムの分析が更に進んだ後にならないと決められないところがある。また、データの収集を行う際に、データが欠如している言語が予想以上に多かったため、取りまとめに時間がかかった。
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Strategy for Future Research Activity |
屈折パラダイムの分析が事前の予想より進捗が遅れていても、その時点までに行った分析に基づいて、queryを暫定的に決定する。また、データが収集できない部分については、断念する他ないかもしれない。
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Research Products
(1 results)