2011 Fiscal Year Annual Research Report
制約意味論にもとづく日本語文法の研究とその脳認知的文解析モデルへの応用
Project/Area Number |
22520386
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉本 啓 東北大学, 高等教育開発推進センター, 教授 (50282017)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 悟 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (20451627)
森 芳樹 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (30306831)
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Keywords | 制約意味論 / 日本語文法 / 文解析 / 意味解釈 / 脳機能画像法 |
Research Abstract |
昨年度までの研究によって、スコープ制御理論(Scope Control Theory ; SCT)にもとづく文意味処理過程研究に関して目標通りの研究を行うことが出来た。南不二男は日本語文4階層説をとなえ、日本語文の構造をきわめてシンプルな原理により捉える道を示した。本研究ではこれにもとづき、日本語の多様な文法現象の包括的説明のインプリメンテーションを行って、日本語の助詞・助動詞を中心とする文法語(機能語)の記述を本格的に行った。特に、格や態(voice)を中心とする、文構造のより内側に属する文法語について記述を進めた。その成果をSCTにもとづく意味解析システムに入力した結果、かなりの精度で解析を行えることが判明し、理論の正しさを確認することが出来た。 また、プログラミング言語Standard MLによる理論のインプリメンテーションも同時に進めてきた。英語文の意味処理に関するインプリメンテーションはほぼ完成の域に達し、現状では、標準的に用いられている文解析情報付きコーパスPenn Treebankの例文の90パーセント以上に対して正しい意味表記(述語論理式)を出力できる。 脳内言語処理研究に関しては、第1・第2言語間の脳内辞書の差異を調査するための脳磁気図(MEG)測定実験を行い、無事にデータを収集することが出来た。 研究成果はThe Seventh International Workshop on Logic and Engineering of Natural Language SemanticsやThe 10th International Workshop on Treebanks and Linguistic Theoriesで発表し、本研究のアプローチをアピールした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
意味解析結果の精度が満足すべき状態にある。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、これまで行ってきたのと同様の手法を日本語に対して本格的に応用する。今年度は、モダリティや終助詞について検討する予定である。脳内言語処理研究に関しては、測定機器製造メーカーの都合によりデータ解析用ソフトウェアの入手が遅れたが、ようやく体制が整い、解析に着手したところである。
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