2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520388
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
青木 三郎 筑波大学, 人文社会系, 教授 (50184031)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 プリシラアン 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (10400607)
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Project Period (FY) |
2010-10-20 – 2014-03-31
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Keywords | ステレオタイプ / 慣用句 / 認知基盤 / 異文化理解 |
Research Abstract |
本研究は次の4つのアプローチによりステレオタイプと言語活動の関係を解明することを目的とする。(1)ステレオタイプに関する諸科学の基礎文献の批判的検討:(1)報道文の論理的ステレオタイプ:(3)文の種類(語り、記述、説明、論評文)のステレオタイプ研究:(4)「紋切り型」としてのステレオタイプ研究である。 本年度は上記の4種の基礎研究を推進した。まず、ステレオタイプ的言語表現の多義性、レトリック性、言語文化的基盤といった形式的特性に関する理解を深め、さらには、概念のステレオタイプを産み出す社会心理学的メカニズムにも考察を広げて、偏見、固定観念などのステレオタイプの負の側面と同時に新たな世界認識のメカニズムとしてのステレオタイプに考察が及んだ。さらに坂口安吾の作品におけるステレオタイプ表現に関して分析を試み、特定の副用語(例えばタダといった語)が作品中で使用される際の意味付けの独自性について考察を行った。本年度の成果の一部はフランシュコンテ大学(フランス)で行われた国際コロキウム(ジャン・ペタールのテキスト言語学研究)において発表した。共同研究者(石田)の研究では、昨年度に引き続き英語の慣用句の紋切り型表現の分析に深く切り込み、紋切り型型表現の実際の使用状況(発話文脈)の多様性が明らかになった。石田は研究成果をEurophras 2012(ヨーロッパのフレイジオロジー学会2012年度大会、於スロベニア、マリボル大学)で発表するなどして、国際的な評価を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画に従って、文献収集、理論的検討、言語データの収集・分析を続行している。研究が深まるにつれ、問題の多様性・複雑性を関連づける方法論的考察の不十分さが目立ってきた。あらためて理論的考察を深める必要に迫られている。また所属大学の用務が予想以上に多くなり、エフォート率がやや低下していることが研究の遅れと関連していることは否めない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は最終年度になるので、研究計画にしたがって研究を推進し、さらに発信力を高めるためのプレゼンテーション、公開発表、論文発表などを行って行きたい。
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