2010 Fiscal Year Annual Research Report
複文構造の認知モデル研究:構文カテゴリの精緻化に向けて
Project/Area Number |
22520392
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大堀 壽夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (20176994)
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Keywords | 複文 / 認知言語学 / 節の統合性 / 意味類型 / 構文理論 |
Research Abstract |
第一に、複文の類型について、文法化の経路を参照しつつ調査を行った。世界の諸言語についての資料を参照し、今後のさらなる研究に資するよう、「従属節の文法化」と「日本語における文法化」(共著)の2点について論文の形でまとめた。2011年度内に出版予定である。 第二に、理由文についての研究の一環として、英語のthat's whyという理由表現について、会話コパスを中心に分析を行った。結果、条件文におけると同じく、実質的・認識的・発話行為的といった領域の区分は理由文においても認められるが、使用される理由表現には機能の違いがあり、認識的・発話行為的な理由関係には適さないものがあることが明らかになった。同時に、談話内での参与者の相互行為という観点からは、一連の談話文脈をバックグラウンドとした話者の主張の正当化、およびその(擬似的な)再確認としてthat's whyが多く使われることを明らかにした。この論文は現在投稿中である。 第三に、日本語の会話データを公開可能なものとすべく、コーディングの標準化、ならびに個人情報に関する処理を行った。このデータに基づいて、日本語の「から」節による中断節について、国際構文理論学会(プラハ)で発表を行った。これと並行して、会話データに基づいた言語分析についての理解を深め、研究者ネットワークを作るべく、講師2名を招いて、データの収集と蓄積、およびサンタバーバラ方式による文字転写をテーマとしたワークショップを開催した。日本語会話データについては、2011年度内に試験的に配布予定である。
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Research Products
(4 results)