2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520393
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
伊藤 さとみ お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (60347127)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 意味論 / 統語論 / 類型論 / 選択疑問文 / wh素性 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、疑問文における選言表現(選択疑問文)を中心に研究を進めた。選択疑問文は、従来の分析では、選言表現の作用域を示す要素(whetherなど)が意味部門(LF)で文頭に移動すると考えられている。そして、この移動は目には見えないが、島の制約(island constraints)や阻害効果(intervention effects)が選択疑問文でに観察されることから存在が検証されると言われている。本研究では、英語以外の言語、特に平叙文と疑問文で異なる選言接続詞を用いる言語(中国語、フィンランド語、エジプトアラビア語)を取り上げ、これらの言語でも島の制約や阻害効果が観察されることをまず明らかにした。だが、その一方で、作用域を示す要素の移動という分析では説明できない現象も明らかになった。例えば、作用域を表す要素が移動する場所に、すでに疑問助詞があれば、衝突が起こると考えられるが、フィンランド語では選択疑問文は必ず疑問助詞を伴っており、移動による分析への反例となる。また、平叙文の選言接続詞はwh素性を持たず、疑問文の選言接続詞はwh素性を持つと考えられるが、選択疑問文が埋め込まれると、中国語、フィンランド語、エジプトアラビア語のどの三つの言語においても、両者の混同が見られた。これらの現象は、wh素性を使った分析では説明できないため、 本研究では、選択疑問文に対し、前提調節の過程として選択肢がLFで移動し、その痕跡がwhとして解釈されるという新しい論理構造を提案した。この分析では、移動はwh素性によるものではないため、疑問助詞の有無の影響を受けないことを説明することができ、また、埋め込み文は前提調節の影響を受けないため、二つの選言接続詞の意味が中和されることも説明できる。前提調節の過程としてではあるが、移動も存在しているので、島の制約や阻害効果も、説明することができる。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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