2010 Fiscal Year Annual Research Report
ナラティブにおけるアイデンティティー構築についての談話分析的研究
Project/Area Number |
22520399
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐藤 彰 大阪大学, 言語文化研究科, 准教授 (90312438)
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Keywords | ナラティブ / アイデンティティー / 談話分析 |
Research Abstract |
本研究の成果として、22年度は以下の2つの学会発表を行った。 1. 日本語の母語話者と非母語話者が日本語で会話する場面において、それぞれの話者のアイデンティティーがsmall storiesにおけるconstructed dialogueを通してどのように表出されているかを考察した。外国語学習への熱意やその能力の高さを誉められると、非母語話者はsmall storiesにおけるconstructed dialogueを用いて非母語話者性を表すこと、またそのきっかけは母語話者から与えられ、それを非母語話者が受け入れる場合が多いことがわかった。非母語話者が母語話者のことばを用いて自らのポジションを示しているさまが浮き彫りになった。 2. 語りのオンライン・コミュニティーにおけるやりとりを、コミュニケーションの民族誌におけるSPEAKINGの枠組みを用い、コンピュータを介したコミュニケーションの特性と関連づけて検討した。分析を通して、デジタル機器を介してファンサイトに集った全国の老若男女が対等かつカジュアル/フレンドリーに、ライブレポという名の三部構成の語りを自ら行い、他者の語りに目を通し、コメントし合うことでラポール形成、さらにはコミュニティー形成を行っていることが明らかになった。また、語りというジャンルが、ダイアローグを行うためのスペースの創出や、そのオーディエンスへの訴求力、また規範的情報の保管および伝達に関わっていることに言及した。
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