2010 Fiscal Year Annual Research Report
生成文法における統語構造のグラフ理論に基づく線状化に関する研究
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22520401
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
豊島 孝之 九州工業大学, 大学院・情報工学研究院, 准教授 (40311857)
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Keywords | 言語学 / 生成文法 / グラフ理論 / 線状化 / 統語構造 / 二分木巡回探索 / 極小主義 / 多重支配 |
Research Abstract |
生成文法理論における言語表現としての線状的音韻形式は、グラフ理論的順序「木」とみなされる統語構造の終端記号にあたる形態列(単語列)から得られるものとして一般に仮定されてきたが、極小主義素形句構造理論では統語構造木の節点間には順序を仮定しておらず、いかに線状化されるかが問題となっていた。 本研究課題の初年度である今年度は、素形句構造理論で仮定される二分木統語構造から、グラフ理論における巡回探索法を用いて線状的音韻形式を得る際に問題となる主要部付加構造を見直し、主要部移動は指定部への移動として移動先の一般化を行い、投射の継承性に着眼することにより、節点間の順序を仮定せずとも、非平面無順序二分木構造での巡回探索法による線状化が可能であることを究明した。 上記の成果を基に、近年種々の言語現象の分析で提案されている多重支配構造に適用し、多重支配節点の巡回を適切に制御することにより、非平面無順序二分木構造での巡回探索法による線状化が適用可能であることも究明した。多重支配節点の巡回制御は、移動の顕在性に依存し、量化子・演算子移動に関しては類型論的に顕在性に差異があるが、無音の量化子・演算子の分岐構造を仮定することにより、類型論的に必要充分な記述が可能であることが解明された。 これらの成果については、平成23年5月に南カリフォルニア大学で開催される平行領域に関するワークショップで口頭発表が決まっている。
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