2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520402
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
原田 なをみ 首都大学東京, 人文科学研究科, 准教授 (10374109)
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Keywords | 言語学 / 生成文法理論 / 統語論 / 日本語 / 格 |
Research Abstract |
本研究では、内省的な思弁を得て得られた母国語話者の言語知識を(1)形態格中心の言語(日本語・韓国語)(2)抽象格中心の言語(英語・中国語)(3)形態格(目的格など)と抽象格(主格)が両方見られる言語(トルコ語)の三種類の言語に関して採取・分析し、抽象格と形態格がどの程度統語計算部門(および後者に関しては音韻部門)にてどのような役割を果たしていくのか考察するものである。平成22年度は、上記目標と課題に従い、日本語のような形態格中心の言語データを再吟味し、英語のような抽象格中心の言語と比較しながら、分析結果の示す指標が統語計算および音韻部門のどちらにどの程度の比重で現れているかを考察した。 具体的には次の二点の考察を行った。(A)日本語の複他動詞構文(例:太郎が二人の学生に三冊の本をあげた)の二つの内項(前述例の「二人の学生に」および「三冊の本を」)の統語構造における位置を、Ko (2005)の線条化アルゴリズムを用いて、遊離数量詞の可能性から再検討した。その結果、二格の内項はヲ格の内項より高い位置に生成されるという結果が得られた。(B)二格の内項は二次述語(「裸で」「生で」など)による修飾を受けないことを統語テストを用いて示した。 (A)(B)の知見の下、日本語では二格がガ・ヲ格と性質を異にし、名詞の格素性を統語部門では完全には認可し得ないため、形態部門における格の認可に備える位置に名詞句を義務的に移動させるということを解明した。
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Research Products
(5 results)