2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520405
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Research Institution | Sapporo Gakuin University |
Principal Investigator |
佐々木 冠 札幌学院大学, 経営学部, 教授 (80312784)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 英才 札幌学院大学, 経済学部, 准教授 (10405631)
奥田 統己 札幌学院大学, 人文学部, 教授 (60224151)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 類型論 / 他動性 / 北海道 / 使役 / 逆使役 / ニヴフ語 / アイヌ語 / 日本語方言 |
Research Abstract |
日本語北海道方言、アイヌ語、ニヴフ語の他動性交替に関する資料整理と調査による資料収集を進めた。また、北海道以外の地域における日本語方言の他動性交替に関してもデータ収集を行った。北海道以外の地域では、茨城県の北部での調査を行った。茨城県は全体的には逆使役型の他動性交替が生産的ではないが、北部では接尾辞による逆使役の派生が一定の生産性を持つ。これは、隣接する福島県の方言の影響と考えられる。 新たに得たデータと資料の整理の成果を使って、いくつかの形で研究成果を公にした。研究成果の発表は、データベースへの情報提供、各種学会での研究発表、論文の公表の3種類があった。 北海道方言と水海道方言の他動性交替に関するデータをマックス・プランク進化人類学研究所(ライプチヒ)の他動性交替データベースに提供した。このデータは近い将来、インターネット上でアクセスできるようになる予定である。 日本語北海道方言、アイヌ語、ニヴフ語の他動性交替を対照した研究を複数の場所で口頭発表した。口頭発表の場となった学会は、北海道方言研究会第200回記念大会(北海道大学、2012年11月)及び、Typology Festa(国立国語研究所、2013年3月)である。 北海道方言およびニヴフ語の他動性交替に関する研究論文(とくに逆使役に焦点をあてたもの)がAsian and African Languages and Linguistics(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所)の7巻に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査及び分析を予定通り行うことができただけでなく、研究成果も口頭発表や論文のかたちで公にすることができた。分析に関しては、北海道周辺で話されている三つの言語における自動詞化と他動詞化の類似点と相違点をかなりの程度明らかにすることができた。それゆえ、(2)の自己評価とした。 なお、この研究計画の研究成果の一部をマックス・プランク進化人類学研究所の他動性交替データベースに提供している。このデータベースは近日中にインターネット上に公開される予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2012年度は、研究計画そのものは順調に進めることができたが、予算は不足がちであった。これは、少なめに予算を申請したためである。年度末には研究計画を実行するために所属研究機関の個人研究費を使わざるを得ない状況になった。 今後このような計画を申請する際には余裕を持って予算申請をすることを心掛ける。 2013年度は、学会発表や雑誌への論文の掲載だけでなく、論文集のかたちに研究成果をまとめることも視野に入れて活動したい。
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