2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本人英語学習者の英語リズム・イントネーション習得のための調音及び知覚・音響分析
Project/Area Number |
22520412
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Research Institution | Showa University of Music |
Principal Investigator |
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 庸子 同志社大学, 言語文化センター, 嘱託講師 (50441192)
末光 厚夫 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教 (20422199)
澁谷 良穂 金沢医科大学, 一般教育機構, 教授 (90154260)
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Keywords | 音声学 |
Research Abstract |
本研究では、英語話者と日本人英語話者の英語の強勢・リズムの実現について、調音的特徴に力点をおいて差異と共通性を明らかにすることを主な目的としている。特に顎の上下運動(開口度)とそのタイミングは、英語の強勢の実現と密接に関連していることから、EMAによる調音データおよび音響データを収集し、英語話者と日本人話者の英語発話の際の調音方法の差異を視覚データに基づき解明しようとするものである。将来的には、本研究で得られたデータを活用し、理論的根拠を持つ英語教授法の研究に示唆を与え、これまで困難とされてきた英語のリズムの習得法やリスニング教育、発音の向上に貢献することを目指す。本研究2年目にあたる2011年度は、これらの目的達成のために以下の調音・音響・知覚・訓練の実験を行い成果をあげた。 1.EMAによる調音実験:アメリカ人話者4名、日本人話者3名を被験者として7回実施した。2.音響実験:アメリカ人話者20名、日本人話者42名のデータ収集および解析を行った。3.発話(リズム)トレーニング研究:NOWGAKUという市販のプログラムを用いて約40名の日本人話者(英語中級クラス×2)で実施した。 4.知覚実験:20名のアメリカ人大学生が、3のトレーニングを受けた日本人話者の発話を聞き、発音向上の伸びを判断した。これらの研究の結果については、日本国内および国際的な学会(添付リスト参照)で発表を行い評価を受けている。具体的には概ね以下のことが明らかになった:(a)顎の開口度とF1は英語の発話におけるリズム構造を反映している;(b)日本人話者のうち、英語発音能力の高い者は英語話者に近い調音・音響的パタンを示すが、発音能力の低い者はそうではない;(c)NOWGAKUを用いてのトレーニングの結果、より英語話者に近いリズムパタンが見られるようになったことが知覚実験で確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記に述べたように、本研究の主目的は顎の開口度と英語の強勢の実現の関連性についての日本人話者と英語話者の相違を明確にすることであり、今年度実施した7回のEMAによる調音実験によって、この関連性が明確になってきている。また、音響・知覚・トレーニングの実験もおおむね予定通り実施できている。しかし、より正確さを期するためにさらなるデータ収集と解析が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究最終年にあたる2012年度は、研究の要にあたるEMAの追加実験を実施する予定である。英語話者2名、 日本人話者2名の計4回実験を行い、調音データを収集・解析する。顎の開口度・タイミングについて、英語話者と日本人話者間の相違のみでなく、日本人話者における英語レベルとの相関性を確認するため、日本人話者2名のうち、1名は英語発音能力の高い者、1名は英語発音能力の非常に低い者とする。2011年度に得られた結果に基づき、我々は英語発音能力の高い日本人話者では英語話者に近いリズムパタン(顎の開口度とF1)が見られ、低い者では見られないとの仮説を立てており、その証明を目的として実験を行う。さらに、日本人英語学習者の英語のリズムの習得法やリスニング教育、および発音の向上に役立てるため、以下の2つを用いて教材研究を進める。1.市販のマルチメディア教材であるNOWGAKUを継続使用し、効果を確認する。2.ネットを使った新たなビデオ教授法(英語学習者が英語話者の口の動きを見ながらシャドウイングし発音練習を行う)の開発を目指す。既存のビデオ教材との違いは顎の開口度に焦点をあてている点とリズム習得を主目的としている点である。トレーニング前後に発音を録音し、アメリカの大学生がこれらの教材による発音向上の度合いを判断するという知覚実験を行う予定である。
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[Journal Article] Interactive component extraction from fEEG, fNIRS and peripheral biosignals for affective brain-machine interfacing paradigms2011
Author(s)
Rutkowski, T.M., Tanaka, T., Chichocki, A., Erickson, D., Cao, J., Mandic, D.P
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Journal Title
Computers in Human Behavior
Volume: 27
Pages: 1512-1518
Peer Reviewed
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[Journal Article] Processing of infant-directed speech by adults2011
Author(s)
Matsuda, Y-T, Ueno, K., Waggoner, R.A., Erickson, D, Shimura, Y, Tanaka, T., Cheng, K, Mazuka, R
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Journal Title
NeuroImage
Volume: 54
Pages: 611-621
Peer Reviewed
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[Presentation] Comparative Eletromagnetic Articulographic (EMA) study of English rhythm as produced by native and non-native speakers2011
Author(s)
Erickson, D., Suemitsu, A., Shibuya, Y., Lee, S., Tanaka, Y
Organizer
Acoustical Society of America, Fall Meeting
Place of Presentation
San Diego, CA
Year and Date
20111100
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[Presentation] 英語のリズムの音声的実現における日英語話者間の相違2011
Author(s)
Mori, Y., Hori, T., Erickson, D., Shibuya, Y., Suemitsu, A.
Organizer
Proceeding of the 25^<th> Phonetics Society of Japan fall meeting
Place of Presentation
University of shimane
Year and Date
20110900
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[Presentation] Where's the rhythm?2011
Author(s)
Menezes, C., Erickson, D., Lee, S., Suemitsu, A., Fujimura, O
Organizer
Speech Production workshop
Place of Presentation
Beckman Institute, Champaign-Urbana, IL
Year and Date
20110500