2012 Fiscal Year Annual Research Report
琉球方言の授受動詞・指示詞に関する体系的研究 ―古代語との類型的対照-
Project/Area Number |
22520416
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
荻野 千砂子 大分大学, 教育福祉科学部, 講師 (40331897)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 敬語 / 謙譲語 / 宮良方言 / 二方面敬語 / 補語尊敬 / 中古語 |
Research Abstract |
敬語研究に関して主に謙譲語の研究と聞き手尊敬の研究を行い,一定の成果をあげた。琉球語には共通語とは異なる敬語のシステムがある。八重山地方宮良方言では「公民館長が知事に花束を差し上げなさる」のような「謙譲語+尊敬語」の敬語の組み合わせで,主語と補語を同時に尊敬する,二方面敬語の用法がある。共通語でも,「公民館長<知事」のように「主語の人物<補語の人物」の関係であれば非文法的な文とまでは感じないが,「主語の人物>補語の人物」の場合は非文法的な文と判断される。しかし,宮良方言では「知事が公民館長に花束を差し上げなさる」相当の文が許容される。この用法を許容するのは,謙譲語I(差し上げる,申し上げる等)の文法が共通語と異なるのではないかという予測をもとに調査を行い考察をした。 調査の結果として,宮良方言の謙譲語/uyoohuN/(差し上げる)には,2つの文法が混在しているという仮説を立てている。一つは補語尊敬機能であり,これは共通語と同様の文法である。もう一つは主語への敬意機能である。この機能は,共通語にはない。非敬語形に対する敬語形動詞のため,動作者である主語への敬意を付与するのではないかと考えている。尊敬機能は,形態素/ooruN/が担っている。そのため,補語尊敬専用の形態素はないのではないかと考えている。この研究結果は,2013年5月の日本方言研究会で口頭発表する予定である。 しかし,指示詞研究の方は,期待した成果が上がらなかった。非文法的な文が見つかれば手がかりになるのだが,/ku//u//ka/系指示詞がどれも使える場合が多く非文法的な例が見つからない。地道に談話資料をとり,用例数を増やしていくことで帰納的な分析を行うしかないと考えている。今後,文脈指示用法と現場指示用法とを分けて,それぞれの指示詞の領域を推定していくこととする。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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