2010 Fiscal Year Annual Research Report
統語的プライミングを用いた抽象的統語知識の獲得メカニズムの探求
Project/Area Number |
22520419
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
郷路 拓也 茨城大学, 人文学部, 准教授 (60509834)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 友比呂 横浜国立大学, 教育人間科学部, 准教授 (40513651)
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Keywords | 言語学 / 心理言語学 / 第一言語獲得 / 統語的プライミング / 文理解 |
Research Abstract |
平成22年度は研究の第一段階として、大人を対象とした文理解実験の準備を行った。 まず最初に、様々な文献やデータベースを利用しながら、実験における刺激文として利用できる日本語の動詞のリストを作成した。このリストは本研究課題のみならず、今後の様々な研究において活用できる利用価値が高いものとなった。そしてそのリストを基に刺激文を作成する手順を整理し、目的に応じた様々な実験文のセットを少ない労力で生成できる環境を整えた。さらに、内外の研究者と情報交換を積み重ね、本研究の目的に適した実験のデザインについて検討を重ね、様々な観点から見て妥当と判断できる実験デザインを選定した。これらの作業により、信頼性の高い実験を効率よく行うための準備は十分に整ったといえる。 しかし、実際のデータ収集に関しては、予想外の事態が生じたため、遅れが生じている。大きな影響があったのは、平成23年3月11日に発生した東日本大震災である。震災により研究機関内の建物への立ち入り禁止・交通機関の乱れ・停電などが生じ、三月中に予定されていた実験のほとんどをキャンセルせざるを得なかった。この結果、平成22年度末までの段階で、大人の統語的プライミングについて何らかの一般化を導くのに十分な結果はまだ得られていない。しかしながらこの遅れはこの研究課題の遂行について致命的な影響を与えるものではない。上で述べたように、実験を行うための準備は十分にできているため、震災の影響が収まった後で速やかに必要なデータ収集を行うことができると考えられる。
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