2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520430
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
東郷 雄二 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (10135486)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | フランス語 / 時制 / 談話 / 視点 |
Research Abstract |
本研究は時制は談話的性格を有するものであるとの認識に基づき、談話構成のメカニズムを明らかにすることによって時制の体系的性格に迫ろうとした。 フランス語の時制は発話時現在を中心とするzone 1と、過去の時点t1を中心とするzone 2 という二つの時制空間から成る。zone 1には現在、複合過去、単純未来、前未来が、zone 2には半過去、大過去、過去未来 (条件法現在)、過去前未来(条件法過去)が属する。これらは視点的用法を持つ時制であり、視点的用法を持たない単純過去と前過去はいずれのzone にも属さない。 時間軸上に出来事を定位する時制の機能は、Kamp & Ryleの談話表示理論によって記述することができるが、時制の視点的用法において最も重要なのは、談話の進行とともに時間軸に沿って移動する視点である。この視点は談話表示理論にも組み込まれておらず、最大の欠点と言える。このため Joseph le vit remettre ses gants e s'eloigner entre les arbres. Au bout d'une minute, Paileau avait disparu. (ジョゼフは彼がまた手袋をはめ、木立の間を遠ざかってゆくのを見た。1分後にブレローは姿を消していた)において、大過去 avait disparuが単純過去vitよりも後に生じた出来事を表すという誤った見解が生まれる(朝倉季雄『新フランス文法事典』)。実際はau bout d'une minuteにより時間ポインタは前に進んでおり、大過去が単純過去より後の出来事を表しているように見えるのは見かけ上にすぎない。時制の用法を正しく理解するためには、談話の進行とともに移動する時間ポインタという概念と、ボインタに付随する視点を組み込むことが必要である。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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