2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22520431
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
早稲田 みか 大阪大学, 世界言語研究センター, 教授 (30219448)
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Keywords | 言語学 / 外国語 / ハンガリー語 / 国際情報交換 / ハンガリー |
Research Abstract |
1ハンガリー語の動詞接頭辞のなかでもっとも文法化が進んでいるmegについての先行研究を収集し、megの意味機能がどのように記述されているかを、改めて整理し比較検討した。これまでの研究で確認したように、megの主要な意味機能は動作の完了を表す機能であるが、それ以外のさまざまな用法についても、統一的な説明ができないかを検討するために、本年度は、一般的に状態の開始を表すと記述されている用法に焦点を当てて研究を進めた。 2データの収集を行った。ハンガリー科学アカデミー言語学研究所の言語コーパスMagyar Nemzeti Sovegtarを利用して、ハンガリー語動詞接頭辞megが状態の開始を表している用法のデータを収集して、分析した。その結果、「好きである」「嫌いである」など心理的状態を表す動詞に接続し、「好きになる」や「嫌いになる」のような状態変化を表す動作動詞を形成する事例を確認した。 3分析と考察を行った。動詞接頭辞megの完了の用法は、これまでの研究で明らかになったように、megが本来「うしろへ」の意味を表していたことから、「うしろへの移動」という空間的なイメージスキーマが、メタファーにより状態変化として捉えられ、さらに結果状態に視点が当たることにより、結果状態が前景化(終端焦点化)されて形成されたものと考えられる。状態の開始を表す機能も、これと同様に、「好きでない」あるいは「無関心な状態」から「好きである」状態への状態変化が完了すると捉えることができ、これにより「状態の開始」にかわり「状態変化の完了」として、完了用法のひとつとして同じ枠組みで説明できることがわかった。 4上記の成果を、平成23年8月22日~27日にルーマニアのバベシュ・ボヤイ大学で開催された国際ハンガリー学会において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的はハンガリー語の動詞接頭辞の文法化のプロセスとメカニズムを明らかにすることにあるが、今年度は「動作の開始」を表す機能の分析により、この意味機能も、空間移動概念のメタファー的意味拡張と焦点化というプロセスにより形成されたという結果が得られたことから、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きハンガリー語動詞接頭辞の多様な意味機能について、コーパスによる用例収集とその整理分析を行い、多義的なネットワーク構造の記述を行う。また、接頭辞の有無による意味のちがい、同じ動詞に異なる接頭辞がついたときの意味のちがいを明らかにし、なぜそのような差異が生じるのかを考察しながら、接頭辞の文法化および構文変化のメカニズムを、英語や日本語などの他言語との比較も視野にいれながら検討する。
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Research Products
(5 results)