2012 Fiscal Year Annual Research Report
コリマ・ユカギール語の統語構造と情報構造の関連究明による統語論記述の精緻化
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22520434
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
遠藤 史 和歌山大学, 経済学部, 教授 (20203672)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 言語学 / ユカギール語 / 統語構造 / 情報構造 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、コリマ・ユカギール語のテキスト資料を形態論的・統語論的に詳しく分析することによって、この言語の統語構造を体系的に考察するのに十分なデータをそろえることに努めた。合わせて、すでに蓄積したコーパスにおけるテキスト資料に基づいて、前年度に続き、その形態論的・統語論的分析を進めた。新たなテキスト資料の発見・収集にも努めた。 以上のデータに基づき、研究代表者自身の統語論記述に関する基本的枠組みの批判的な検討をさらに進め、改訂と精緻化を進めた。具体的には、研究開始当初から継続して考察している点として、統語構造における基本的な要素の順序と隣接関係があり、特にそれらの基本的なパターンから逸脱する順序とその原因の究明について注目して取り組んでおり、今年度もこの点についてより多くのデータを揃えることに努力した。これに加えて今年度は、前年度末に刊行した論文において論じた複合名詞句に関し、名詞句との連続性や所有マーカーと情報構造の関連について新たに重点的に取り組んだ。合わせて今年度は、この言語において注目すべき文法的特徴である焦点標識が付いた名詞句と情報構造の関連について新たに取り組み、可能な限り多くのデータを得ることに努力した。 以上に加えて今年度は、節連続における情報構造について予備的考察を進めた。また前年度に引き続き、以上の文法的現象の背後にあると考えられるユカギール語の基本的な文法構造の類型論的特徴についても考察を継続して行った。以上に述べた研究成果をもとに簡潔な中間報告書を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データの蓄積と分析を着実に進めていること。その作業の中で、以前の記述の枠組みを実質的に超えるデータを考察するととも、新たな分析の視点を加えることができ、またそれらを新たな枠組みのもとに整理して提示し、研究発表と論文の出版を実現したこと。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もコリマ・ユカギール語のデータを着実に蓄積し、それらの分析を進める。現時点までの形態論的・統語論的分析をさらに推進するとともに、次年度は情報構造に関する考察に着手する。近年の情報構造に関する理論的・経験的研究に関する文献を検討し、情報構造の考察の基礎を固める。分析したテキスト資料について、これらの先行研究の成果を取り入れつつ、情報構造に重点を置いた分析に着手する。
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