2014 Fiscal Year Annual Research Report
印欧語比較言語学理論に基づくゲルマン語動詞体系生成過程に関する研究
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22520436
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 俊也 九州大学, 言語文化研究科(研究院), 教授 (80207117)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | Verb system / Proto-Germanic / Proto-Indo-European / Morphological Conflation / Preterite-Present Verbs / Strong Verbs / Anomalous Verbs / Verner's Law |
Outline of Annual Research Achievements |
5年間に渡り本補助金を受け、印欧語比較言語学理論に基づいて、ゲルマン語動詞体系生成過程の解明を目指す研究を継続した。「形態的混交説(morphological conflation theory)」という独自の理論から、特に過去現在動詞、強変化動詞(特にI-VI類)、変則動詞(特に繋辞 the copula)の歴史的発達過程の解明に焦点を絞って分析を進めてきた。形態的混交説では、過去現在動詞と強変化動詞の生成過程に共通点と相違点があると想定する。双方とも、前ゲルマン祖語(pre-PGmc.)または印欧祖語(PIE)の畳音のある完了能動形(the reduplicating perfect active)を受け継いでいるために、両者の活用形態には共通点が多い。しかしながら、その完了能動形と混交した形態が異なることから、両者の活用形態の中には異なる点が生じていると考えるものである。 今年度の具体的な成果としては、上記の「形態的混交説」の立場から、強変化動詞と過去現在動詞の間にある、ふたつの際立った形態音韻的相違点について、従来の研究の枠組みからは互いに関係がないと思われるものの、「形態的混交説」の見地からはそれらが生成過程において相互に関係する現象でありうることを示す論考を、国際研究会(LVC Research Forum, May 2014)で口頭発表し、九州大学言語文化研究院発行の紀要に論文として公刊した。それらの2つの際立った相違点とは、次の現象を指す。 1)強変化動詞IV, V類の過去複数形では語根に長母音が生じる一方で、過去現在動詞IV, V類の現在複数形には、元々の(前ゲルマン祖語あるいは印欧祖語の段階での)ゼロ階梯母音を反映する母音が生じている。 2)ゴート語の強変化I類からVI類動詞については、過去複数形にヴェルナーの法則による有声摩擦音を示す例が皆無である一方で、ゴート語の過去現在動詞2例および強変化VII類動詞1例では、ヴェルナーの法則による有声摩擦音を示す例がある。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)