2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520441
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
猿橋 順子 青山学院大学, 国際政治経済学部, 准教授 (10407695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒井 幸康 北海道大学, スラブ研究センター, 研究員 (80419209)
樋口 謙一郎 椙山女学園大学, 文化情報学部, 准教授 (40386561)
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Keywords | 言語政策 / 方法論 / トライアンギュレーション / 研究法 / 言語景観 / エスニックビジネス / 移民言語マイノリティ / ミャンマー |
Research Abstract |
本研究は、言語政策に関連する現象を、異なる研究の視点からアプローチすることで、調査手法や見えてくる知見の違いを確認し、それを融合させる可能性と意義を探求することを最終的な目的としている。二年目にあたる本年度は、対象とする現象を決定し、具体的な調査計画を立案し、予備調査を実施したうえで、本調査を開始した。 調査の概要および視点は以下のとおりである。 今回の調査では、ミャンマー人が経営するエスニックレストランを事例として、そこに展開される言語空間をめぐり以下の3点から研究を行う。一つ目は、レストランという場で伝達・共有される情報の内容および多彩さに着目し、従来の行政府による言語サービスでは見落とされていた移住者の言語・情報ニーズの側面を浮き彫りにすることを試みる。二つ目は、言語景観を「消費の風景」の観点から分析することで、言語政策が情報の受け手によって形作られていく側面に迫ろうとするものである。三つ目は、さまざまな言語および非言語の情報が伝達・共有されるエスニックレストランを言語政策が展開されるひとつの場として捉え、そこにどのようなアクターが、どのような意図と動機をもって参加し、相互作用を及ぼしあっているのかを捉えることを試みる。調査の技法としては、言語景観研究にエスノグラフィーの手法を取り入れ、参与観察および聞き取り調査を実施しているところである。研究の成果だけではなく、研究のプロセスにも着目する今回の調査では、調査方法やフィールドへのアクセスなどの局面における意思決定や課題についてもデータ化しながら進めている。 また、最終的に教科書としてまとめる成果イメージについても具体案を策定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、本年度の前半に研究デザインを固め、本年度中にはデータ収集を終え、分析に入る予定でいたが、研究の意義やアクセシビリティを考慮した結果、対象とするフィールドを変更したため、本調査の実施が予定よりも若干遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
鋭意調査を進め、なるべく早く分析の段階に入る。研究を遂行する上での問題点は言語である。主要言語であるミャンマー語については、調査者自身も学習を進めながら、通訳者・翻訳者の支援により取り組んでいる。ミャンマーのその他のマイノリティ言語については、直接アクセスするのには限界があるため、話者当事者による説明に頼りながら調査を進めている。ミャンマー語とその他のマイノリティ言語の関係は、そのままミャンマー人コミュニティの力関係を反映していると考えられるため、各人の言語意識に十分配慮しながら調査を進めていく必要がある。
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Research Products
(10 results)