2011 Fiscal Year Annual Research Report
近世ドイツにおける文書の社会語用論的研究-宗教改革期の民衆教化文書を中心に
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22520444
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Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
新田 春夫 武蔵大学, 人文学部, 教授 (00012443)
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Keywords | 言語学 / ドイツ語学 / 社会語用論 / 近世ドイツ / 宗教改革 / 文書類型 / 民衆教化文書 / 学校演劇 |
Research Abstract |
1)本研究の理論的背景となる社会語用論についての考察をも行い、下記の論文の前段に述べた。 2)今年度は教化文書の中でも特にカテキズム、カトリックとプロテスタントの演劇テクストを分析の対象とした。 3)カテキズムは少青年の宗教教育の教科書であり、学校における演劇も学生、生徒の教育を目的としたものであるから、教化は一般民衆だけでなく、後進の若者をも重要な対象としていたことが明らかとなった。 4)中世以来の伝統的演劇素材である『エブリマン』や新約聖書中のイエスの寓話である『放蕩息子の帰還』などのテーマはカトリックの作者もプロテスタントの作者も演劇素材として利用したが、そこには自ずと宗教的立場の違いが表れ、テクストの社会語用論的分析の材料として適切であることが明らかになった。 5)夏期休暇中にベルリン自由大学図書館でイエズス会演劇に関する研究文献調査を行った。 6)F.Simmlerベルリン自由大学教授とイエズス会演劇テクストに関する意見交換を行った。 7)学年末休暇中にボン大学図書館において16~17世紀の学校演劇に関する研究文献調査を行った。 8)W.Besch,W.Hoffmannボン大学教授らと学校演劇テクストに関する意見交換を行った。 9)昨年度に引き続き、研究補助者を使って武蔵大学所蔵のG.Freytag、H.-J.KohlerによるFlugblatter,Flugschriften(宣伝ビラ、冊子)のコレクションをスキャナーで読み取り、パソコンで扱えるようにして、これまで作成してきたデータベースをさらに充実させた。 10)以上の研究成果をもとに、近世ドイツ教化文書の文書類型に関する全般的考察を行い、論文にまとめて武蔵大学人文学会雑誌43号に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
休暇中に行ったドイツ現地の大学図書館での研究文献および資料としてのテクストの調査、また、現地の研究者たちとの直接の意見交換は、本研究分野が日本での文献、資料が少ないこと、また、研究者も多くないだけに、研究の進展にたいへん有効であった。
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Strategy for Future Research Activity |
1)平成24年度は最終年度であるから研究成果を論文にまとめ、学会誌に発表する。 2)一般民衆だけでなく、生徒、学生たちといった後進の教育、教化と学校演劇の役割についての研究を進める。 3)カトリックの作者、プロテスタントの作者、それぞれにおける演劇素材の選択、教化戦略のテクスト構成、テクストにおける言語的手段の様相などについて分析を進める。
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Research Products
(2 results)