2012 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ語の文法体系にみられる構文ネットワークについて:結果構文を中心に。
Project/Area Number |
22520447
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
島 憲男 京都産業大学, 外国語学部, 教授 (80360121)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | ドイツ語 / 結果構文 / 中間構文 / 自動性・他動性 / 同族目的語 / 結果の目的語 |
Research Abstract |
本研究はドイツ語の結果構文を中心に構文間の共通性・関連性を横断的に捉えることを目的とした。本年度はまず中間構文を取り上げ、各々の構文研究では見落とされがちな構文間のつながりを動詞の他動性を軸に捉えた。結果構文は用例が拡張タイプへと拡張するにつれて他動詞から自動詞に移行し、目的語が動詞の直接的な意味制約から離反して意味的自立性を強め、二次的叙述関係の主語としての役割が前面に出てくる。この他動性の変化や目的語の前景化にも関わらず、当該構文が文法的範疇としてまとまっていることは、二律背反的な自動詞・他動詞の対立を超えた構文的連続性を捉える必要性を意味する。中間構文もまた自他両領域に広がる構文で、同様の連続性が観察された。 今年度の後半は、今まで分析した構文も加え、諸構文の文法的な関連性を構文ネットワークとして提示した。主語が動詞の行為を行うことで目的語の状態を変化させ、目的語にその結果状態を帰する結果構文を中心に、出現や消失といった目的語全体に関わる意味を表す動詞と生起する結果の目的語、自動詞文の他動性を相対的に高める同族目的語、文中から動作主を降格させることで残った文肢を前景化させる中間構文と、本研究が分析対象としたものは他動詞型の構文パターンを持つ。この中で結果の目的語を除く三構文は自他両領域に分布し、文法的なメカニズムが関わっている。結果構文と同族目的語構文では自動詞領域で他動詞化メカニズムが、中間構文では文の必須文肢を減らす自動詞化メカニズムが認められる。その結果、この三種の構文は二つのパラメータ(基本形から拡張形への方向と拡張形を生み出す変換メカニズム)の点で三者三様の構文であるといえる。 構文間の関係を捉えようとする本研究の試みを通じて、諸構文を有機的に関連づけ、ドイツ語文法に存在する一般的で、言語類型論的にも有用な文法的メカニズム解明の意義が示されたと確信している。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)