2011 Fiscal Year Annual Research Report
教室談話における生活語レジスターによる発話の教育的有用性の社会言語学的研究
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22520448
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
達富 洋二 佛教大学, 教育学部, 准教授 (40367983)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森山 卓郎 京都教育大学, 教育学部, 教授 (80182278)
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Keywords | 教室談話 / 発話スタイル / 社会言語学的アプローチ / 教師の聞く力 / 生活語スタイル / 教師話法 / 指標的機能 / 教室コミュニケーション |
Research Abstract |
本研究では,教室談話のトランスクリプションを作成し,生活語スタイルの発話の機能を詳細に分析するするとともに,生活語スタイルの発話の有効性についての調査を行っている。生活語スタイルによる発話の教育的有用性と教師の聞く行為の事実を明らかにし,その教育的有用性を取り入れて談話編集することで,質の高い授業を具現化することが本研究の目的である。なお,本研究における文体シフトについては,「スタイル」が適切であると考え,23年度から「生活語レジスター」を「生活語スタイル」としている。 【具体的内容】(ア)教室談話における生活語スタイルによる発話のタイミングや機能を明らかにする。(イ)生活語スタイルによる発話の教育的有用性(共通の言語化)を,教室談話の充実(連続・基盤的理解の深まり・文脈的理解の深まり・主体的理解の深まり・協働性)を測定基準として明らかにする。(ウ)教師は生活語スタイルによる発話の「何を」「どのように」聞いて授業をしているのかを明らかにする。(エ)生活語スタイルによる発話の教育的有用性(共通の成員性)を明らかにする。(オ)教室談話編集力を向上させるストラテジーを明らかにする。以上の内容について研究をすすめた。とりわけ,23年度は,教室談話におけるスタイルの切り替えには,指標的な機能があり,その機能には,(1)公式な発話と非公式な発話の切り替え,(2)集団への発話と個人への発話の切り替え,(3)アドレス性の切り替え(4)主張とその理由の切り替え,があることを明らかにした。 【意義】教師の教室談話を聞く力の研究は管見の限りない。本研究の成果は,多くの教師の指導力向上の一助となると考えられる点に意義がある。社会還元として,積極的に成果を現場の教員に還元することのその意義は大きなものとなると思われる。 【重要性】教師の聞く力を高める研究は学校と研究者の協働で進めることが必要である。 【本年度の研究計画】 教室談話編集力ストラテジーの具体モデルの作成と研究の総括
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・研究協力校(小学校)との協働的研究が計画通り進行しているため。 ・トランスクリプションの作成が計画通り進行しているため。 ・基礎的研究の検索及び文献研究が計画通り進行しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の総括として「教室談話編集力ストラテジーの具体モデルの作成と研究の総括」を研究内容としているが,この推進のためには学会での交流及び最新研究の調査が必要であると考える。また,小学校現場における現職教員からの意見収集が大きな参考になると考える。これらについて,積極的な研究計画を立て,研究課題の推進を図りたい。研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での問題点は特にない。
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Research Products
(4 results)