2011 Fiscal Year Annual Research Report
インド東部・オリッサ州の定住ベンガル人社会における言語接触に関する記述的研究
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22520451
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Research Institution | Notre Dame Seishin University |
Principal Investigator |
山部 順治 ノートルダム清心女子大学, 文学部, 准教授 (00330598)
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Keywords | オリヤ語 / ベンガル語 / 日本語 / 歴史言語学 / 社会言語学 |
Research Abstract |
本研究は、インド東部・オリッサ州の定住ベンガル人コミュニティー(社会集団)における言語接触を対象とする。基礎的資料の収集・整理に力点を置く。同ミュニティーでの言語接触に関して得られる知見を、日本での言語接触に関する研究成果と突き合わせ、インドと日本それぞれの事例の特質を明らかにする。 今年度は、インド・オリッサ州・カタック市で、2月~3月に1ヶ月間の調査を実施した。オリヤ語とカタック・ベンガル語(オリッサ州・カタック市で話される非標準的ベンガル語)について、1人の話者との面接を期間中毎日4時間~6時間行った。少数項目については、この話者以外の数人にも情報提供を求めた。 調査項目は、平成22年度(1年目)のそれからの発展だった。文法に関しては、格関係、人称、音声に関しては、母音の区別、音調に関するものであった。オリヤ語、カタック・ベンガル語、標準的ベンガル語の三言語間で構造的な非対応('ずれ')が見られる項目について詳しく調べた。記録方法としては、主に、ノートに筆記しその内容をパソコンに入力した。このほか、映像、録音による。 国内では、インドでの調査で得た資料を整理した。補足的に、オリヤ語についてインターネット新聞のテキストから資料を採集した。 インド調査で得た資料に基づき、カタック・ベンガル語について、次の論点について考察した。共時的に、他言語との構造的な異同と共存の実態。歴史的に、現状へ至った経緯。 日本語や他の言語についての(独自の、あるいは研究文献からの)資料に基づき、同一言語内部においてありうる変異を整理した。これにより来年度以降のインドでの調査で使用する項目を整備した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主要課題の一つが、調査対象言語内部における話者間変異である。その進捗の現状は、当初予期と比較し、全体的度合いとしては順調な進展をなしつつ、次の点でずれてきている。インド・オリッサ州での調査に関しては、調査対象の人数を増加させる点で苦心している。一方、国内における研究遂行に関しては、話者間の変異現象に関する論点の解明や調査手法の開拓を大きく進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画どおり、インドオリッサ州で毎年度約一か月間、資料収集調査を実施し、国内で同資料の整理および関連論題の研究を行う。
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Research Products
(3 results)