2011 Fiscal Year Annual Research Report
危機言語サオ語(台湾中部)の記述研究及び仮名で記録されたサオ族伝承物語の分析
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22520452
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Research Institution | Nagasaki University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
新居田 純野 長崎外国語大学, 外国語学部, 教授 (30532915)
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Keywords | サオ語 / 台湾原住民語 / 談話 / 伝承物語資料 |
Research Abstract |
二十三年度は、六月と八月の二回、台湾中部に居住するサオ語の現地調査を行い、これまでに調査をして収集したサオ語文法資料の確認をおこなった。またあわせて、前年度からの被調査者作成の日本語の平仮名表記によるサオ語の記録の聞き取り調査を継続して実施し、音声による書き起こしをおこなった。さらに、サオ語話者同士の談話の音声記録の一部を、被調査者とともに音声記録を聞きながらの書き起こしをおこなった。 被調査者による日本語のひらがなでのサオ語記録は、これまで公開されたことのないサオ族の昔の生活や、被調査者の体験が多く記録されており、貴重な資料となる。また、サオ語話者同士の談話記録はこれまで皆無のものであり、生きたサオ語の紹介となり非常に意義のあるものである。 これまでに採集したサオ語の語彙に関しては、その音声表記、意味、及び例文の内容確認と英語、中国語による翻訳をすすめてきた。これらの語彙は、写真をつけることで、サオ語保存のために勉強会を実施しているサオ族の人たちに使いやすい辞書となると考えられる。 研究成果としては、サオ族における昔の生活記録を80代サオ語話者に日本語で語ってもらい、その記録を公開した。また、サオ語における人を表す言葉の分析を行い、その分析をもとにサオ族の社会構造や人間関係の表し方等について考察を行って論文として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の目的である被調査者が日本語のひらがなで記録しているサオ語資料の書き起こしがほぼ80%終わったが、それら資料の被調査者による最終確認が思つた以上に時間がかかっている。また、サオ語語彙3000語の整理および各語彙の写真の収集がまだ終わつておらず、これらに今後かなり時間を要するため、当初の予定より達成度がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
夏までにサオ語文法の整理及びサオ語語彙の整理をして、夏の現地調査で被調査者に最終確認及び各語彙につける写真の収集を行う。サオ語の調査の集大成としてサオ語文法、サオ語語彙集、サオ語話者同士の談話および被調査者が日本語のひらがなで記録しているサオ語の音声表記記録をまとめた冊子作成を目指す。
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