2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520457
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
月本 雅幸 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (60143137)
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Keywords | 国語学 / 日本語史 / 訓点 / 訓点資料 / 漢文訓読 |
Research Abstract |
本研究は,日本語学の立場から,平安時代に訓点の記入された仏典関係資料のうち,真言宗系の訓点資料について,それを1つの資料群としてとらえ,そこに記入された訓点の言語の特性を解明することを目的とする。その際,この資料群全体をより小さないくつかのグループに分け,それぞれの言語の特性を分析し,その上でその結果を綜合することにより真言宗系訓点資料の全体像を明らかにするものである。 本年度は研究開始に当たって設定した真言宗系訓点資料の4グループ(A大日経,大日経疏類),B儀軌類,C空海撰述書類,Dその他)のうち,Aを対象とし,特に大日経疏に重点を置いて調査,考察を行い,最重要の資料については解読文の作成も併せて実施した。 考察の結果,大日経疏の訓点資料については次のような知見を得ることができた。 1真言宗では大日経疏の訓点資料がかなり多く伝存しているが,20巻全体を伝えるものは極めて少ない。 2現在伝わる大日経疏の古写本には多くの場合,訓点が記入されていて,これは本書が真言宗において,よく研究されて来たことを示している。 3大日経疏の訓点に使用された言語には古い要素と新しい要素が混在している。 4古い訓法の上に随時新しい訓法が書き加えられることにより,3の現象が起きたと考えられる。 来年度以後は前述のB~Dのグループについて調査,考察を行う予定である。
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Research Products
(1 results)