2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520474
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
奥村 和子 大阪府立大学, 人間社会学部, 講師 (80264787)
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Keywords | 平曲 |
Research Abstract |
研究目的の一部である平曲譜本の音形変化に関する調査と諸本比較整理の一環として、研究代表者の所属する大阪府立大学附属図書館所蔵の平曲譜本(四冊)について、濁点の付され方を中心に調査を行い、その結果-すなわち、府大本の三冊目までがあらゆる点で京都大学蔵波多野流本に酷似していること、ただし数少ない両本の相違点のうちで最も目立つのが濁点の有無であって、京大本で付されていたものが府大本で省略される等、京大本の方が丁寧に付されていること、府大本の四冊目は三冊目までとかなり異なるが、やはり波多野流の譜本と考えられること、等一を資料紹介の形で報告した。このことからは、酷似する本の存在する京大本が波多野流譜本の系譜の中でも比較的よく使われた、主要なものであったであろうこと、そして府大本はその(もしくは共通の祖本の)若干粗雑な面のある書写本であることが言えるかと思う。 また、その本文や譜記からして非常に近い関係にあると考えられる青洲文庫本平曲譜本と尾崎家本平曲譜本とにおける四段動詞連用形の音便化の有無の調査については、会話文と地の文、会話文においては発話者の位相(特に性別)、動詞の種類(拍数・語幹末母音・敬語)、及びそこに記されている譜記等の点に留意しつつ用例を拾いあげ、データ入力を行った。計画書にも記した予想通り、調査対象が長文であること、用例のピックアップが手作業であることから、22年度中には調査が資料全体には及ぼなかったため、引き続き23年度も作業を行う予定である。
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Research Products
(1 results)