2014 Fiscal Year Annual Research Report
再帰代名詞の文法化現象を基に照応理論を構築する研究
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22520493
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
野口 徹 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 准教授 (20272685)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 再帰代名詞 / 再帰形式 / 再帰性 / 照応 / 文法化 |
Outline of Annual Research Achievements |
文法化現象に関する研究は、機能主義類型論の立場から行われることが多い。本研究の中心的な課題は、主に英語と日本語の再帰代名詞の文法化現象に生成文法理論の視点を導入することにより、文法化現象の背後にある仕組みを明らかにし、妥当な照応理論を構築することにある。 平成26年度は本研究の最終年度にあたり、本研究4年目までの英語の再帰代名詞の歴史的考察と現代日本語に見られる再帰形式の形態統語的・意味的性質に関する研究成果を踏まえた上で、日本語の再帰形式の成立について歴史的観点から考察を行った。具体的には、(1)通言語的に見られるFaltz (1977)が示した一般化(再帰性を担う要素は名詞から動詞または動詞接辞へと変化する)が日本語にも当てはまるのか、(2)日本語の語彙体系を形成する和語と漢語の区別が再帰形式の成立にどのように関わっているのか、の2点に着目して、検討を進めた。 その結果、(1)については、上代日本語の段階では再帰形式が文法形式として認めることができず、一見Faltzの一般化に反する状況が存在することが分かった。しかし、中古以降の例からは、身体表現の用法にFaltzの一般化を支持する現象も見られることから、日本語にも同様の文法的な仕組みが存在することが分かった。また、(2)については、「自」という漢語由来の再帰形式を持つ要素(「自己」、「自身」、「自分」など)が中世以降日本語に取り込まれた一方で、身体表現や「おのれ」「われ」などの和語と併存する時代が続くことで、和語と漢語とによる複雑な再帰形式の体系を形成することになり、語彙の阻止など有標性の観点から用法が区別されることが分かった。以上の検討結果については、論文として公表した。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)