2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22520496
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡田 禎之 大阪大学, 文学研究科, 教授 (90233329)
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Keywords | 語彙概念拡張 / メトニミー / 因果関係 / テキスト結束性 |
Research Abstract |
・本年はこれまでのデータ収集に基づき論文2編を発表し、また予定していたドイツでの国際会議での研究発表も無事に遂行できた。研究発表では、海外の研究者との意見交換ができて有意義であったが、同時にデータに関する意見の不一致なども見られたため、問題が残った。このような不備を改善すべく、さらにデータ収集を続け、より説得的な議論構築を目指していく。 ・例外的な概念拡張に関わる要因として、因果関係的たテキストの結束関係があげられると考えているがこれに対して類似的な結束関係(平行関係、対比関係、具体事例化、一般化などの結束関係)では、同様の概念拡張が認めにくいことや、近接的な結束関係においてもやはり概念拡張を引き起こすような環境が整えられないことを確認したが、これらはいずれもネイティブスピーカーの内省判断によるものであるのでさらに実際のテキストなどを利用して検証していく方法を模索する必要があると考えている。 ・もう一つの例外的概念拡張事例として考えていたeyes like a tiger/voice like an angelのような構造に関しては、概念拡張と考えるより、削除現象と考えるべき事例であるとの結論に至ったため、当初の予定とは異なる形での結論を得ることになったが、今年発表した2編の論文において、そのことを論じている。 ・概念拡張対象(target)とその引き金(trigger)の両者が同一節内に存在する必要がある、という局所性の条件については、いくつかのデータは集められているものの、まだ充分な量であるとは言えないため引き続きデータ収集の努力をしながら検討していく予定である。 ・7月に行った国際学会での研究発表を元に、現在論文を執筆中であり、来年度に向けて投稿の準備を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた論文執筆と口頭発表を行えたので、おおむね計画通りであると考える。ただし、eyes like a tiger型の表現など、当初予定していた分析に合致しないと思われる事例も出てきたために、一部予定を変更して、論文の内容が変更された部分もある。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は論文を投稿することを予定しており、現在この目標に向けて執筆活動中である。説得的な議論を行うためにはまだ量的なデータが不足しているということが、国際会議での反省点であったので、この問題点を補強していきながら、計画を遂行していく予定である。
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Research Products
(3 results)