2011 Fiscal Year Annual Research Report
語形成から分析する後期近代英語:小説黎明期に見る女性の文体を中心として
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22520499
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
脇本 恭子 岡山大学, 大学院・教育学研究科, 准教授 (00258295)
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Keywords | 語形成 / Samuel Richardson / 英語文献学 / 文体 / 後期近代英語 |
Research Abstract |
本研究は,後期近代英語期における語彙多様化の一因を,この時代を代表する作家Samuel Richardson(1689-1761)に見出し,特に「語形成」の観点から,Richardsonの3つの書簡体小説(Pamela(1740),Clarissa(1747-48),Sir Charles Grandison(1753-54))を調査・分析するものである。 三年間の研究期間のうち二年目にあたる平成23年度には,所属学会である近代英語協会の第28回大会シンポジウムにおいて,司会兼講師として口頭発表を行った。「文学作品に見られる否定表現の通時的考察-社会的・心理的視点からのアプローチ-」と題するこのシンポジウムでは,否定表現を使用することでどのような文体的効果が生まれるのか,近代英語初期から後期にかけての否定表現の諸相を,三人の講師により通時的に考察していったが,自分の担当では,Richardsonの作品に見られる"disagreeable,""implacable,""in-/ungrateful,""unworthy,""hopeless,""non-compliance"など本研究のテーマである語形成の面から分析した。分析の結果,この否定接辞を含む語の中には,Oxford English Dictionaryの初例となっているような独特な意味・用法もあれば,複数の同義語が畳みかけるように繰り返されたり,その逆に相反する内容の語が一括りになるなど,その使い方が多種多様であることが分かった。 上記の口頭発表の内容についてさらに考察を深め,その一部を論文の形にまとめ,岡山英文学会の学会誌や所属研究機関の紀要に掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の要の部分の調査・分析にあたり,所属学会である近代英語協会の大会シンポジウムで発表したことにより,(2)と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方策としては,接辞の添加した否定語と別の否定語から成る二重否定について,後代の作家(例えばJane Austenのような女性作家)に与えた影響の点から分析することを考えている。
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