2010 Fiscal Year Annual Research Report
統語構造と意味・音韻のインターフェイス研究-否定・疑問・焦点化と照応・削除
Project/Area Number |
22520502
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
稲田 俊明 九州大学, 大学院・人文科学研究院, 教授 (80108258)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今西 典子 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (70111739)
西岡 宣明 九州大学, 大学院・人文科学研究院, 教授 (80198431)
|
Keywords | インターフェイス / 照応・削除 / 否定 / 文断片 / WH構文 / 言語機能 |
Research Abstract |
本研究では、生成文法における重要な研究課題の一つである、人間の精神に内在する言語機能について研究することを目標にして、特に、従来の標準的アプローチにおける仮説群のなかで(i)何が言語固有な文法特性の具現であり、何が言語の外側の認知体系の特性の反映なのかを洗い出し、それと同時に、(ii)言語間や個別言語内にみられる有標の変異特性が普遍的特性にどのように連関しているかを明らかにすることが重要な課題であった。具体的には、WH構文、省略、否定など焦点化に関わる事実の調査を言語学文献とインフォーマント調査で実施し、意味・音韻・談話のインターフェイスにおいて統語構造に要請される制約を明らかにするのが、本研究の重要な仕事であったが、その研究の概要は以下の通りである。 (1)代表者、分担者で研究打ち合わせを行って、研究課題の準備状況と研究計画の再確認を行った。 (2)言語学・英語学関係の文献を購入して、従来の標準的な生成文法の仮説群の問題を洗い出した。 (3)同様に、言語学文献と雑誌論文を精査して、WH構文、省略構文、照応関係、否定現象と文法の各インターフェイスの特性について問題点を洗い出した。 (4)日本英語学会において、研究協力者の大学院生が、研究成果の一部を発表した。 (5)ワークショップを開催し、参加者間で研究課題について討議した。 その結果、特に省略や文断片に関わる統語現象については、文法と外部の認知体系との関係についての検討が不可欠であり、これまでの普遍文法モデルでは説明しにくいことが明らかになった。
|