2011 Fiscal Year Annual Research Report
GET:語彙の意味概念について 認知的アプローチと概念拡張
Project/Area Number |
22520508
|
Research Institution | Nippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
市川 泰弘 日本工業大学, 工学部, 准教授 (00223090)
|
Keywords | 語彙・意味 / 概念拡張 / 言語習得 |
Research Abstract |
今年度は言語資料からgetがどのように使用されているのか、どのような単語を結びついているのか、統語的観点からどのような下位範疇を伴うのかを調査した。まず、Oxford English Dictionary 4. Oversionでのgetが生起する例文を調査し、5229例を収集した。歴史的には18世紀中期までの文献94作品をVirginia University Electric Libraryからダウンロードしその中でgetの生起状況を調査した。その結果getを含む例文を5626収集した。また、CHRLDES(Child Language Data Exchange System)からイギリス英語を母語とする幼児・児童(1歳9ヶ月から7歳3ヶ月)86名の言語データの中に生じるgetと共起する要素(範疇)を調査した。興味深い点はOxford English Dictionaryでは、getは13世紀に出現し15世紀までの例文が40示されている。いずれも単独か名詞と共起しているが16世紀になると不変化詞と2共起し始める。Virginia University Electric Libraryからダウンロードしたデータでは、getと共起するのは名詞、場所を示す前置詞などが現れ、不変化詞が生じている。時期は15世紀後半から16世紀初めである。getの例が多くなるのはかなり早く16世紀後半であるとOEDに記載されている例文から考えられることから、不変化詞の出現はかなり早い段階であると考えられる。Tomasello(1992)およびCHILDESから抽出した86名のデータから言語習得過程でのgetの出現を見ると、初期に名詞と生じるようになり、のちに場所を示す前置詞、不変化詞が生じるようになっている。これは昨年の成果である「多言語の翻訳から生じる構造の影響は若干あるものの言語習得過程でgetが習得されている形式の生起順序と歴史的発達での生起順序が類似している」ことを再確認し、人間の概念の拡張がこの生起順序に影響を与えている可能性がかなり高いことが非常に高いことがわかった。この研究の成果は現在学術論文誌に投稿準備中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データの部分でさらに調査すべき部分(アメリカ英語を母語とする話者)があるが、理論的基盤についての考察もすすんでいるので、おおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はデータを整理し、理論的基盤である拡張理論と認知言語学的アプローチ(スキーマを使った概念表示)をより精密に構築していく予定である。
|