2010 Fiscal Year Annual Research Report
生成文法における長距離依存の局所性に関する理論的及び実証的研究
Project/Area Number |
22520511
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
石井 透 明治大学, 文学部, 教授 (30193254)
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Keywords | 生成文法 / 極小モデル / 局所性条件 / かきまぜ規則 / 再帰代名詞 |
Research Abstract |
長距離依存に関する「局所性条件」は、生成文法初期から常に中心的な研究課題の一つであり、現在でもその重要性は変わらない。しかし、局所性条件に関する研究課題の中には、以前の枠組みでは詳細に取り扱われていたが、現在の枠組みである「極小モデル」では未だに殆ど手つかずに残っているものが存在する。本研究は、そのような研究課題を、これまで積み重ねられてきた局所性条件に関する研究を現在的視点から見直すことを通じて抽出し、極小モデル下での解決策の提示を目指す。今年度は、まず、日本語の「かき混ぜ規則」が複数回同時に適用され、補文中から複数の要素が取り出された場合、一般的に移動規則に適用されると考えられている「島の条件」などの局所性条件に従わなくなるという事実を発見し、その分析を行った。より具体的には、「かきまぜ規則」には二種類存在すると主張し、上記のような複数回同時に適用される場合は、統語部門での規則によるものではなく、音韻部門での規則によるものであると主張した。さらには、日本語の再帰代名詞は、その先行詞を同一節中にとらなくてもかまわない、すなわち長距離依存が可能な要素であるが、単一節中に複数個出現する場合、その先行詞となれるものには、ある種の制限がかかることに関して研究した。より具体的には、日本語の再帰代名詞の先行詞は主語に限られるが、単一節中に複数出現する場合には、それらすべての再帰代名詞が同一の先行詞をとらなければならないという現象を分析し、この事実が一致により説明できることを示した。
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] Prosodic Scrambling2010
Author(s)
Brian Agbayani, Chris Golston, Toru Ishii
Organizer
The 5th Formal Approaches to Japanese Linguistics Conferences
Place of Presentation
University of California, Santa Cruz
Year and Date
2010-05-08
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