2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520513
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
高橋 眞理 京都産業大学, 外国語学部, 教授 (20247779)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 言語学 / 日本語 / 英語 / 省略 / 動詞句 |
Research Abstract |
本年度は、英語の動詞句削除(VP-ellipsis, VPE)の認可条件を特定する鍵となる構文のうち、削除される動詞句(VPβ)がその先行詞(VPα)の項の内部に含まれるもの(cf. Kennedy(1994),Sauerland(1998))に対応する日本語文の容認性とその解釈の可能性を調査し、調査結果の分析とその理論的示唆の検討を行った。得られた主な結論/作業仮説は以下のとおりである。 1 英語と同様に日本語でも、VPβがVPαとは異なった「目的語」を持つと解釈される例が存在する。これは一見「VPαを含む構成素αとVPβを含むβは、①重複部分を持たず、②β内でcontrastive focusを持つ部分を除けば同じ意味解釈を持つ必要がある」とのVPE認可条件に違反しているようであるが、Takahashi,S.(2006)の提案に従って「DP内のNPは格付与詞にc-commandされる位置に遅れてmergeされる」と仮定することによって説明できる。 (例1) アテネ軍に破壊/占領された要塞の近くの町iも < ei 破壊/占領 >されたようだ。 2 英語のAntecedent-contained Deletion構文に対応する日本語文において、関係節を含む目的語QPが主部の左に移動される必要があることは昨年度に報告したが、この「かきまぜ」が浮遊数量詞を節内に残す例も容認されることが判明した。従って、昨年度の作業仮説を以下のように訂正する必要がある:この「かきまぜ」が必要なのは、そうしなければVPαがVPβと共に削除されてしまい、VPEの先行詞が発音されない文になってしまうからである。上記①の条項は、日本語でも英語と同様にLF表示に適用されるとの仮説が維持できる。 (例2)(?)[ロンドン警視庁が調査した事件 ej ]iを、ホームズも すべてj < ei 調査 >した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本語に関する調査結果の理論的示唆を見極めるために、非常に広い範囲の理論・研究成果の調査を行う必要があったため。
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Strategy for Future Research Activity |
動詞句削除に関連する最新の理論や研究成果の調査をさらに精力的に行う。 特に、LF表示、意味解釈、表層構造と情報構造のinterfaceについての理論を精査する。
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