2010 Fiscal Year Annual Research Report
位相を意識した日本語使用を促す学習支援システムの研究
Project/Area Number |
22520516
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
才田 いずみ 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (20186919)
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Keywords | 日本語学習 / 社会的立相 / 役割語 / 伝達スキル / 使用評価調査 |
Research Abstract |
本研究は,日本語学習者が日本語の種々の位相を意識し,場面や効果を考えてスピーチレベルや表現を選択使用することができるよう支援することを大きな目的としている。具体的には,日本語学習者用教材に多く見られる中立的で限定的な言語バリエーションの枠に入らない例も提供して学習リソースを豊富化することと,伝達のスキルおよびストラテジーに配慮して,特に音声面の実現に力点を置いている。それに加えて,伝達スキルや役割語の使用に関する評価調査を行うことも,研究目的の1つとしている。 平成22年度は,システムの基盤作りと,役割語などの言語バリエーションに対する評価調査の実施を中心に研究を行った。 1つめのシステムの基盤作りでは,コースウェアに盛り込む内容を中心に検討を行った。これまでほとんど教材化されていない役割語の使用に絞ってリソースを準備しても,学習者のレディネスと乖離するおそれがあるため,学習内容の配置については慎重に検討する必要がある。学習内容すべてを決定したわけではないが,入り口としては,学習者に馴染みのある依頼や指示などの機能を持つ会話で,従来型の仕事や勉学の場面から,これまであまり例がなく,役割語の使用可能性のあるトランプ遊びの場面まで広がりを持たせてみることとした。 言語バリエーションに対する評価調査は,小規模な予備調査を実施してみたところ,学習者も日本人も,文字データや音声刺激だけではイメージがまちまちになることがわかった。よって,調査を実施するために,その刺激となる会話についての検討を行い,教材リソースと併せてビデオ映像を作成した。結果的に,本格的な調査の実施は23年度に持ち越すこととなり,研究成果発表も来年度以降のこととなった。
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