2011 Fiscal Year Annual Research Report
位相を意識した日本語使用を促す学習支援システムの研究
Project/Area Number |
22520516
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
才田 いずみ 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (20186919)
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Keywords | 日本語教育 / 社会的位相 / 役割語 / ICT / 学習リソース / 日本語学習 |
Research Abstract |
社会で用いられている言語には,さまざまな位相に対応した変種があるが,外国語として学ぶ場合,学習者が接する言語バリエーションは,中立的で限定的であることが多い。本研究は,日本語学習者が日本語の種々の位相を意識し,場面や効果を考えてスピーチレベルや表現を選択使用することができるよう支援することを大きな目的とし,以下の3点を具体的な目標としている。 1.社会的位相に即した適切な表現選択のためのリソースの豊富化 2.伝達のスキルおよびストラテジーに配慮したリソースの作成 3.伝達スキルや役割語の使用に関する評価調査 平成23年度は,1については,2つの場面で「意向を訊く」「希望を言う」および「確認する」という3つの言語行動に焦点を当て,社会的位相の違いによるバリエーションを提示・練習するためのコンテンツを作成した。このコンテンツについては,ウェブ上での公開について協力いただくNPO法人科学協力学際センターのホームページに合わせて,プラットフォームの差し替え等を行っており,近々公開する予定である。2と3については,東日本大震災の影響で,ビデオクリップの編集に予想外の時間がかかってしまい,調査やコンテンツ作成に着手することができなかった。これについては,24年度に実施できるよう研究計画を改変した。 本研究に関連しての研究発表としては,シンガポール国立大学で行われた教材に関するシンポジウムにおいて,現在の学習者に合せた日本語教材の開発について,本研究で考えているあり方を基調に論じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
東日本大震災の影響で,「役割語」などの伝達スキルやストラテジーを用いたコンテンツ部分についてのビデオクリップ編集に予想以上の時間がかかってしまったため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画では「役割語」など,これまで学習者にあまり提供されてこなかったタイプのリソースについては,学習者に対して評価調査を行い,その結果を踏まえて教材化する手順で考えていたが,計画が遅れたため,こうした中立的でない言語リソースについても,まずウェブに載せられる形にした上で,ウェブを利用して評価調査を実施することを検討している。
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