2010 Fiscal Year Annual Research Report
第2言語としての日本語習得と日本語フィラー習得の関係に関する調査研究
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22520520
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
小出 慶一 埼玉大学, 教養学部, 教授 (60178192)
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Keywords | フィラー / 話しことば / 日本語習得 / 日本語教育 |
Research Abstract |
2010年度の研究成果は、「日本語学習者の発話に見られるフィラー『こう』について」という論考にまとめた。この論文では、まず、KYコーパス(鎌田修・山内博之)に収録された初級から超級までの学習者について、各段階から2名を選び、その出現フィラーを調査した。その結果、初級では母音延引系(「アー」類)、中級では指示詞系「あのー」、上級では副詞系「まあ」「もう」および母音延引系「えー」「えーと」、そして、超級になると「こう」が出現するという結果になった。日本語学習者の発話に現れるフィラーは、学習段階と強い相関があることが予想される。 この結果をもとに、今年度は、「こう」がなぜ超級にならないと現れないのかという点について、母語話者の「こう」の用法と比較しつつ検討を加えた。その結果、「こう」は、「心的に思い浮かべられた対象を、言語化のために、分節し、表象的な把握を行うとともに、言語生成へと向かう心的な動きを、ある場合には一括してまたある場合には時間的な流れの中で捉えつつ、言語化への動きを促進するもの」であるが、超級まで現れないのは、「自身の発話生成の過程に、イメージ的な要素の言語的な取り込みを行いつつ発話を進めるという、より創造的な発話が行われるようになっているから」であるとした。 日本語学習段階とフィラーとの相関については他の研究者によっても指摘されているが、個々のフィラーの性質の検討を踏まえた議論はほとんど行われていないと思われる。その点で、今年度の成果は、この分野の研究の可能性を開いたものと言えると思われる。
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Research Products
(1 results)