2010 Fiscal Year Annual Research Report
認知言語学的アプローチによる日本語学習者(中国語母語話者)の語彙知識に関する研究
Project/Area Number |
22520527
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鷲見 幸美 名古屋大学, 大学院・国際言語文化研究科, 准教授 (50340211)
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Keywords | 多義語 / 和語動詞 / 意味ネットワーク / 基本義 / 拡張義 / 比喩 |
Research Abstract |
本研究は、外国語/第二言語として日本語を学習する日本語学習者、特に、中国語を母語とする学習者の多義語習得支援の基礎研究として行っているものである。習得支援の前提として、日本語学習者の多義語に関する語彙知識がいかなるものであるかを、認知言語学的アプローチにより明らかにすることを目的としている。 初年度は、調査対象語の選定と対象語の意味ネットワークの記述を計画した。しかしながら、いずれも最終的な選定、記述の完成には至らず、対象語の候補の選定と、意味ネットワークの暫定的記述に留まった。 まず、対象語の選定については、現代日本語の多義語を対象として意味分析をした先行研究、辞書や日本語教育における多義語の扱いについて調査した先行研究を踏まえ、和語動詞を調査対象とすることに決定した。「習得支援」という観点から、和語動詞の中でも、「4級の語彙」(日本語能力試験出題基準【改訂版】(2002))に限ることとした。さらに、その中から、学習者が最初に学習するのが主体の動きを表す意味・用法であり、その意味・用法が基本義だと考えられる2項動詞に限ることとした。その条件を満たす動詞について、先行研究や国語辞典の意味記述を検討し、「のむ、かう、かぶる、きる、つく、でる、とる、はいる、ひく、みる」の10語を調査対象語の候補として選定した。 次に、対象語の意味ネットワークについては、新聞記事を中心に実例を収集し、「比喩による意味の拡張」という観点から、内省に基づき分析・記述した。
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