2011 Fiscal Year Annual Research Report
認知言語学的アプローチによる日本語学習者(中国語話者)の語彙知識に関する研究
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22520527
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鷲見 幸美 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 准教授 (50340211)
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Keywords | 認知言語学 / 多義語 / 和語動詞 / 移動動詞 / 意味 / 比喩 / 日本語学習者 / 中国語話者 |
Research Abstract |
本研究は、外国語/第二言語として日本語を学習する日本語学習者、特に、中国語を母語とする学習者の多義語習得支援の基礎研究として行っているものである。習得支援の前提として、日本語学習者の多義語に関する語彙知識がいかなるものであるかを、認知言語学的アプローチにより明らかにすることを目的としている。 第二年次は、公開されている既存の各種学習者コーパスを対象として、日本語学習者の和語多義動詞の使用実態を調査した。その目的の一つは第一年次に選定した調査対象語候補の見直しを行うこと、もう一つの目的は学習者の多義和語動詞の使用傾向を明らかにすることであった。 第一の目的については、見直しの結果、調査対象を和語移動動詞に限定することとした。その理由は、移動動詞は日本語・中国語を含む言語一般において、最も基本的なものであり、より抽象的な事象を表現するための基盤となること、それゆえに非常に多義的であること、特に物理的な移動を表す場合と抽象的な事象を表す場合とを明確に区別することができ、意味の習得プロセスが把握しやすいこと、そして、各種学習者コーパスにおいて、その使用が観察できることである。 第二の目的については、和語移動動詞を対象として、学習者コーパスを観察した。既存の各種学習者コーパスは、学習者の日本語レベルの判定をしているものもしていないものもあり、しているものについてもその判定基準は一様ではない。そのため、その使用実態を一様に解釈することはできず、コーパス毎に把握するにとどまった。 日本語母語話者の使用実態と比較し、母語話者と日本語学習者の和語多義動詞の使用の共通点と相違点を明らかにすることを計画していたが達成できなかったため、第3年次にもコーパス調査を継続する。 学習者の和語移動動詞の使用実態をコーパス調査により明らかにすることは、テスト(質問紙調査)の項目を限定する上で極めて重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初は、テスト(質問紙)による調査のみを計画していたが、既存のコーパスに現れた使用実態の調査を合わせて行うこととし、後者を先に行っているため、テストによる調査が遅れている。さらに、本年度に計画したコーパス調査(母語話者と学習者のデータ)については、学習者コーパスの活用、分析に時間がかかり、計画通りに研究成果を得ることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
コーパス調査を早急に完結させ、それを発表するとともに、質問紙調査の作成、実施を遂行する。
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