2013 Fiscal Year Annual Research Report
認知言語学的アプローチによる日本語学習者(中国語母語話者)の語彙知識に関する研究
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22520527
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鷲見 幸美 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 准教授 (50340211)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 日本語教育 / 多義語 / 和語 / 動詞 / 日本語学習者 / 語彙習得 / 台湾 / 中国 |
Research Abstract |
本研究は、外国語/第二言語として日本語を学習する日本語学習者、特に、中国語を母語とする学習者の多義語習得支援の基礎研究として行っているものである。習得支援の前提として、日本語学習者の多義語に関する語彙知識がいかなるものであるかを、認知言語学的アプローチにより明らかにすることを目的としている。 第四年次は、第二・第三年次に行った、コーパス調査の結果の一部を、華南理工大学・名古屋大学中日言語文化合同研究会(中国)において発表した。 また、台湾新竹市において、外国語として日本語を学習する中国語母語話者(大学2~4年生)を対象にした調査を行い、完了した。調査の一つは、質問紙調査で、一般的な語彙力を測る語彙テストと「入る」「出る」を調査項目とした多義語テストである。もう一つは、「入る」「出る」を調査項目としたカード分類タスクである。さらに、日本国内において、第二言語として日本語を学習する中国語母語話者を対象にした調査、及び、日本語母語話者を対象にした調査を開始し、継続している。日本語母語話者に対しては、カード分類タスクのみ行っている。 調査を継続するとともに、現在その結果を分析・考察中ではあるが、上級日本語学習者であっても、日本語学習の早い段階で導入され、使用頻度が高い動詞「入る」「出る」の多義性を十分に習得できておらず、多義語の意味の理解が限定されていて、日本語母語話者のように豊かではないこと、構造的ではないことが明らかとなった。 中国語を母語とする日本語学習者は、一般的に、日本語学習、特に、語彙学習には有利だと認識されているが、多義語の意味の理解における日本語母語話者との隔たりが明らかになることにより、必要とされる語彙習得支援が明らかになり、日本語教育に貢献できると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度については、概ね計画通りに進んだが、全体としては当初の計画より遅れている。 調査内容・方法の見直しにより、調査の実施が遅れ、それに伴い、研究成果の公表も遅れたため。
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Strategy for Future Research Activity |
日本国内で実施している日本語学習者、日本語母語話者を対象とした調査を早急に完了させ、その結果を分析・考察し、研究成果を公表する。 外国語として日本語を学習する学習者について、レベル差による考察をするにはデータ数が十分ではないため、今後台湾ないし中国で調査を行うことも検討中である。
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Research Products
(2 results)