2012 Fiscal Year Annual Research Report
日本語のgood writing:第2言語と第1言語による比較
Project/Area Number |
22520542
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Research Institution | Nagoya University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
田中 真理 名古屋外国語大学, 外国語学部, 教授 (20217079)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 日本語教育 / ライティング / 第2言語としてのライティング / 第1言語としてのライティング / 構成 / パラグラフ / 読み手 / メタ言語 |
Research Abstract |
本研究の目的は,第2言語と第1言語としての日本語小論文を比較・検討することにより,より広い視野から日本語小論文のgood writingの要素を追求することである。 今年度は,英語話者(E)と中国語話者(C)と日本語母語話者(J)による2種類の小論文(A「ファーストフードとスローフード」:「比較・対照」の説明・意見文)と(B「通学授業と遠隔授業」:2つの立場から1つの立場を選ぶ論証文)を,主に構成面から分析した。その結果,以下の傾向が認められた。 (1)マクロ構成(序論・本論・結論)に関して,結論意識はECJ全てにある。(2)序論は,プロンプトBの場合には立場を明らかにするために作られるが,プロンプトAの場合にはいきなり本論に入る例もあり,この傾向は母語に関わらず認められる。(3)マクロ構成の意識はあっても,序論や結論が1文で終わっている例がかなりある。全体的に認められるが,JやCに顕著である。(4)序論に,本来本論に書くべきことが書いてある場合がある。これはCに顕著に見られ,背景説明が長く,序論が半分以上を占める重い構成となる。(5)メタ言語(まず,次に,以上のように等)は,効果的に使われている例もあるが,多用され,形式的で稀薄な印象を与えてしまっている例もある。(6)読み手意識はEに強く,例を挙げて,読み手に呼びかけるように書かれているが,その結果,インフォーマルな印象も与えうる。JやCの読み手意識は総じて低い。 以上より,母語による傾向は多少あっても,全体的に,マクロ構成が真に身についていない(プロンプトで指示されないと序論が書けない,また序論や結論に書くべきことがわかっていない)ことが示唆された。メタ言語の効果的な使用法,読み手意識の改善を含め,第2言語,第1言語に共通したライティング教育の今後の課題が明らかになったと言える。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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