2010 Fiscal Year Annual Research Report
状況モデル構築のための英文理解促進アプリケーション開発と評価
Project/Area Number |
22520555
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
佐藤 健 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 講師 (40402242)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 明夫 東洋大学, 経営学部・会計ファイナンス学科, 准教授 (00406373)
|
Keywords | 状況モデル / iPodアプリケーション / リーディング / リスニング / 文章理解 / 意味 |
Research Abstract |
今年度は、3年計画の初年度ということもあり、本研究の基盤になる項目、即ち「外国語学習の効果を意味理解の観点から検証する」点に焦点を絞って研究を行った。その理由として、心理学の観点からは文章(意味)理解の研究が多く行われているが(但し殆どが母国語を対象)、外国語教育の観点からは殆ど行われていないため、研究者が想定する教育的効果を心理学の指標で測定できるのかを見極める必要があったからである。 具体的には、コンピュータのメリットを活用した、立体画像や動画を用いた学習教材と、従来の媒体である紙の上でも再現可能な、平面図を用いた学習教材(内容は前者と全く同一)を利用した学習者が、その後のリーディング活動による文章理解において内容理解の深さに差があるかについて、Kintsch & van Dijk(1983)の「状況モデル(Situation Model)」の枠組みを用いて実験を行った。結果としては、両者に統計的な差はなく、現時点では図のマルチメディア化による意味理解の深化を認めるところには至っていない。しかし研究デザイン、被験者の確保、意味の深化の度合いを測るリーディング教材に改善の余地があるため、23年度の研究においても、この研究は継続する必要があると思われる。 しかし今年度の基礎研究を通し、今後の研究に対する課題が見つかった。今回実験を通して意味の深化を段階的に測定するために「状況モデル」の枠組みをそのまま用いたが、理論をそのまま利用すると、「意味理解」の定義が限定され、かつその検証方法も限られてしまい、本研究の可能性を自ら狭めてしまうことが判明した。そのため23年度からは(本研究のタイトルに「状況モデル」とあるが)「意味理解をより深める」という本研究の原点に立ち返り、意味をより深く理解するための外国語としての英語学習教材を、今後の主要な学習ツールとなるiPodやスマートフォン用に開発し、その学習効果を検証していく所存である。
|
Research Products
(4 results)