2011 Fiscal Year Annual Research Report
状況モデル構築のための英文理解促進アプリケーション開発と評価
Project/Area Number |
22520555
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
佐藤 健 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 講師 (40402242)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 明夫 東洋大学, 経済学部・会計ファイナンス学科, 准教授 (00406373)
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Keywords | iPodアプリケーション / リーディング / 語彙 / 文章理解 / 意味 / 自動化 / ワーキングメモリ / 解答時間制限機能 |
Research Abstract |
23年度は、3年計画である本研究の最も重要な年と位置付け、実際に教材を開発し、その学習効果に対する検証を試みた。その研究成果は国際学会での発表、および海外のジャーナルへの投稿という形でその意義を世に問うことができた。なお海外ジャーナルへの論文は現在修正版を提出したところであり、23年度の業績として記すことができないが、遅くとも24年度中の発刊が予定されている。 今年度は、語彙学習およびテキスト理解を深化すると想定されるマルチメディア機能の1つである、「反応時間制限機能」に着目した。いくつかのマルチメディア英語教材にはすでに反応時間、すなわち提示された質問に対する解答を出すまでの時間を調節できる機能がついているが、この機能がテキスト理解にどのような役割を果たすか、そして実際に効果があるかは全くと言っていいほど検証されてこなかったため、本研究では実際にその機能を備えた語彙学習ソフトウェアを作成し、その語彙学習への効果、およびその語彙を含むテキスト理解への効果を検証することにした。 この機能が外国語学習に有効である根拠として言語情報処理の「自動化」を挙げることができる。例えば読みという行為は、提示されたテキストの解読と、内容理解という処理を同時並行的に行われるものであるが、特に外国語の場合は、語彙の解読により多くの時間と認知資源が用いられるため理解に使える資源が減少する結果、テキスト理解が困難になるとされる。この問題を解決するには、言語情報の解読を自動化させることで認知資源を出来るだけ理解処理にトレードオフすることが重要である。今回のアプリケーションの特徴である「反応時間制限機能」は自動化を促進し、テキスト理解を促進するという仮説を立て、検証を行った。 その結果、「反応時間制限機能」を持つアプリケーションを利用した学習者は、学習した語彙数、その反応時間、そしてその語彙を含むテキストの理解が全て、それを利用しなかった学習者よりも向上することが判明した。この結果により、我々の立てた仮説が正しいことを立証することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
英語学習用iPodアプリケーションを開発し、それを用いた学習効果実験の結果、語彙学習を促進するだけでなく、文章理解も促進することが明らかとり、その結果を学会での発表、及び国際ジャーナルへの投稿という形で具現化することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
順調に研究が進んでいると言えるため、従来の計画に従って研究活動を遂行することが一番の推進方策となると考える。しかし研究期間終了後も本研究を継続・発展させるという点に立てば、研究成果を、国内外を問わず学会での発表あるいは論文に投稿することで、長期的視野に立った研究の方向性を見いだす作業を行う必要があると言える。
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Research Products
(6 results)