2010 Fiscal Year Annual Research Report
事態把握の認知枠が第二言語習得に与える影響:英語・日本語・韓国語の対照的研究
Project/Area Number |
22520556
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
守屋 哲治 金沢大学, 学校教育系, 教授 (40220090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀江 薫 名古屋大学, 大学院・国際文化研究科, 教授 (70181526)
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Keywords | 第二言語習得 / 認知枠 / 対照言語学 / 英語 / 日本語 / 中国語 / 韓国語 |
Research Abstract |
研究代表者は母語の認知枠が第二言語習得に与える影響を調べるための基礎データとして、本年はまず、日本語母語話者の英語作文データを収集してデータベース化を行い、どのような方向で分析を行うかの基本的検討を行った。その中で、テンス・アスペクトに関しては、日本語母語話者のアスペクト使用が非常に限定的であり、それが英語習得の中で誤用を産みやすい傾向にあるのではないかという感触を得たため、次年度以降さらに掘り下げて行く予定である。また、認知枠の違いを調査するための基本項目が、移動事象のフレーミングだけでなく、他にどのような語彙や構文の選択に影響しうるのかを、最新の理論研究、実践研究を参考にしつつ検討した。 研究分担者は、日本語母語話者及び中国語母語話者の移動事象表現の習得の差異に関する研究に関与し、認知枠の違いが移動事象表現の語彙・構文選択に実際に影響を与えている可能性があることが判明した。さらに、日本語と韓国語のデータを対照して、談話的機能を表すマーカーの働きが各言語の体系による違いから異なっており、その違いが各言語の習得に影響を及ぼしていることを明らかにしている。また、中国語母語話者の日本語習得におけるモダリティ体系のちがいの影響に関する考察を行った。 以上の成果は、国内シンポジウムやサンフランシスコで開催された第7回日本語実用言語学国際学会でその成果を一部発表した他、今後認知機能言語学会や認知言語学会および対照言語学シンポジウムなどの論文集等で公表していく予定である。
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