2013 Fiscal Year Annual Research Report
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22520564
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
田中 順子 神戸大学, その他の研究科, 教授 (90335406)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村尾 元 神戸大学, その他の研究科, 教授 (70273761)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 第二言語習得論 / 英語冠詞 / 教育工学 / 心理言語学 / 機械学習 |
Research Abstract |
H25年度は、冠詞習得に関わる特定性(specificity)などの意味素性をキューと捉え、その操作化と項目の配置についての検討を行った。 H24年度の研究では特定性と不定性(indefiniteness)が共存する状況での冠詞習得が困難であることから、この側面を強化することが冠詞の習得につながる可能性を示した。その一方で、特定性に関わる研究において操作化によりキューへの気づきやキューの取り違えが起こるという問題点が指摘された。具体的には、学習者に冠詞選択をさせる状況で学習者が冠詞判断の際に基づいているのは特定性自体ではなく、状況に特定性が存在することを表現するために「目新しい、言及するに足る」(noteworthy)と話者が判断しているように描出した操作化によるものであるという指摘であった。 H25年度はこの問題点を踏まえて、冠詞選択において特定性が要因として働いているのか、noteworthinessが働いているのかを弁別できるように、特定性とnoteworthinessを操作化して実験を行った。その結果、先行研究とは異なり、noteworthinessが特定性と混同されて冠詞選択の要因として働いたとは必ずしも言えない結果を得た。また、先行研究の参加者の英語能力に比べて、我々の研究の参加者の英語能力が低いことから、学習者の英語能力の高さによって素性への感受性が(ひいてはキューの働きの強さが)異なったことが示唆された。 H25年度は機械学習のモジュールでは、隠れマルコフモデル(HMM)を使って、実際に起こった時系列データから,特定の系列の発生確率を学習することが出来るかどうかや、文脈中のキーワードが他の文献にどのように拡散するのかを数理モデルを使って説明する研究を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
人間の学習モジュールと機械学習のモジュールに分けて研究を実施しており、それぞれにおいて概ね順調に研究が進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は人間の学習モジュールと機械学習のモジュールとの間でより連関をもたせるようにする。その上で、それぞれのモジュールで得られた学習プロセスについての結果を相互に考察し、最終年度の研究結果のとりまとめを行う。
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Research Products
(5 results)