2011 Fiscal Year Annual Research Report
小中連携の英語教育における教員間の「協働性」に関する総合的研究
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22520568
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
横溝 紳一郎 佐賀大学, 留学生センター, 教授 (60220563)
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Keywords | 小中連携 / 英語教育 / アクション・リサーチ / ナラティブ / 協働性 |
Research Abstract |
平成22年度の調査結果を踏まえ、小学校5・6年生の2年間と中学校3年間、合計5年間を見通したカリキュラムを、研究代表者と小学校・中学校教員とで協働作成を試みることとなった。平成23年度初めに開催された話し合いの中で、以下の点が明らかになった。 a.学習詣導要領に基づく形で小学校5・6年生の70コマのみの外国語活動を実施しても、中学校での英語の授業に直接つながるようなスキルの習得はあまり期待できない。 b.それ故、小中連携の英語教育の成功の鍵は、中学校でどのようなカリキュラムをデザイン・運営するかにあると考えられる(特に中学1年時)。 c.bを成功に導くためには、(1)小学校外国語活動の目的と実施方法への理解、(2)カリキュラム・デザインと教材分析等の能力、等が中学校教員に求められる。 この結果を受けて、2011年度は、(1)カリキュラム・デザインと運営、(2)教材分析と授業案の工夫等を、中学校教員と研究代表者とが協働的ARの枠組みで進めていくこととした。どのようにして中学校教員が「灯小学校外国語活動の目的と実施方法への理解」を深め「カリキュラム・デザインと教材分析等の能力」を向上させていくことができるのかに関して、総合的に分析をしていくために、協働的ARを実施することにした。 協働的ARでは、「予備調査」により前年度までの問題を洗い出し、各問題点に関する「仮説を設定」し、各仮説を「実行する手立て」(例、一つの教室に複数の英語教員が常在できるようにする、週に一回の英語教員全員参加のミーティングを必ず持つ、等)を考案し、「実施謙画」を立て、「結果の検認」を行った。1年間に及ぶ協働的ARの結果、(1)学習意欲の大きな向上、(2)英語力の着実な伸び、等の成果が出た一方、(3)抵学年に行けばいくほど「満足度」が下がる傾向があることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究対象者が、小学校教員・中学校英語教員から、中学校英語教員のみへと限定されたが、この変更は、両教員との話し合いの結果として生じたものである。中学校英語教員との協働的アクション・リサーチの実施は、生徒の学習意欲及び英語力の向上へとつながっただけでなく、英語教員のカリキュラム・授業・教材・生徒に対する理解の深化へとつながったこともあり、「おおむね順調に進展している」との評価を下すに至った。
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Strategy for Future Research Activity |
「低学年に行けばいくほど満足度が下がる傾向がある」という問題の解決のためには、中学1年時、特に初めの一学期のカリキュラムのデザイン・運営に工夫が必要であると考えられる。その工夫の具体的方策のアイデアを得るためには、その分野に関する先駆的な試みを既に行い成果を上げている学校の事例を参考にすることが必要である。最終年度は、その調査研究に着手し、その成果を、初めの一学期のカリキュラムのデザイン・運営に関する具体的提言へとつなげていく予定である。
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Research Products
(3 results)