2011 Fiscal Year Annual Research Report
談話構築プロセスと学習環境要因の関連性:社会文化的観点からの考察
Project/Area Number |
22520582
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中浜 優子 慶應義塾大学, 環境情報学部, 教授 (50343215)
|
Keywords | 第二言語習得 / 社会文化理論 / 学習環境 / 談話構築 / ナラティブ / 談話分析 |
Research Abstract |
本研究の目的は,社会文化理論を基本的枠組みとし,学習環境要因が目標言語としての英語での第一人称ナラティブ構築のプロセスに与える影響について明らかにするというものである.平成23年度は,研究の二年目にあたり,22年度に行ったパイロット研究の分析の結果をまとめ,考察を行った.また,22年度に収集したデータの中で対象者として,バックグラウンド,習熟度レベル等で研究目的と完全には一致しないものもあったため,追加のデータ収集も合わせて行い,分析まで終了した.その結果,より自然な会話とはどういうものなのかを解明するとともに,会話中に挿入されるナラティブの構造やそこまでに至る話し手と聞き手の談話構成プロセスが,学習環境要因によって大きく影響を受けることが分かった.具体的には,ESL(English as a Second Language)とEFL(English as a Foreign Language)環境での学習者の間には,発話回数や一発話の長さ,意味交渉の回数,談話マーカーの出現回数等の量的な違いが見られただけではなく,turn確保のプロセス,意味交渉の種類等の質的な違いも見られた.更に学習者側の発話パターンだけでなく,母語話者側の質問・返答スタイルも対話者の学習環境によって異なるということが分かった. 学会発表としては,平成24年1月に,Hawai'i International Corrence on Educationで第二言語としての英語でのナラティブ談話におけるトピックの言及についての報告を行った.また,平成23年度はナラティブ研究者のMichael Bamberg氏からの連絡を受け,24年度に研究打ち合わせをする運びとなり,英語ナラティブワークショップも開催することになった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は前半が体調不良のため研究を順調に進める事ができなかったものの、追加データを含むパイロット研究の全データ分析は終了し論文執筆のドラフト段階までは進んだ。平成24年度には本研究データ収集・データ処理とともに、パイロット研究結果を学会誌等に投稿し、発表予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
パイロット研究の成果を専門誌に投稿する予定である。また24年度は、パイロット研究の結果を参考にし、リサーチデザインに改善を加え、本研究を遂行する。アメリカ・日本でデータ収集を行い、データ処理の予定である。
|