2011 Fiscal Year Annual Research Report
言語越境者が自己評価する能力の考察-母語話者基準に限定されない能力認知のために
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22520583
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
姫田 麻利子 大東文化大学, 外国語学部, 准教授 (50318698)
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Keywords | 複言語 / 複文化 / アイデンティティ / ライフストーリー / ポートフォリオ |
Research Abstract |
言語越境者がそれぞれの経験に基づいて抱く複数言語・文化資本に関する主観的意味世界の分析方法論の中で、インタビューの長所確認と、インタビュー概要の推敲を行った後、日本でのインタビュー2件(日本でフランス語を学ぶ中国出身大学生、日本・フランス・韓国の移動経験のある在日韓国人)フランス語圏(カナダ・ケベック州)在住者へのインタビュー2件(フランス語入門レベルのカナダ政府機関所属研究者、ブルキナファソからケベック移動経験者)を実施した。 インタビューの長所として資本形成までに経た複数の段階を救い上げられる点を重視し、半構造化インタビューのアウトラインを以下のように決定した:1.言語文化との出会いの場の複数性(人生上の選択の意図、選択の主体;複数の場のつながりの有無)。2.資本増加方法の複数性(人生上の選択の意図、選択の主体;方法間のつながりの有無)。3.固有の外国空間の複数性(空間開拓文脈の複数性=家族文脈、自立的開拓、人との交流、職業文脈;空間拡張と減少プロセス)。4.見出された資本価値の複数性。5.言語資本価値変動のプロセスと要因。6.見出された資本価値に関する周囲の価値観との共通点、相違点(相違点で感じる居心地)。 調査結果の一次的分析の段階で、4名のインタビューイに共通して、自分の言語文化資本を、周囲の一般的な価値観から独立させて価値化している点、それをアイデンティティと認識する点が抽出できた。この「周辺性の受容」を、ネイティヴ行為者基準に限定されない複言語・複文化能力自己評価教材に導入するために、さらに詳細な調査結果分析が必要と考えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H23年度申請書記載の実施計画は、インタビュー概要の確認、フランス語圏でのインタビュー(2名)、日本でのインタビュー(3名)、インタビュー記録資料の整理、分析、頻出キーワード追跡、経験のコード化とカテゴリー化だったが、日本でのインタビュー予定者1名をのぞき、計画通りに進行できた。
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Strategy for Future Research Activity |
インタビュー調査結果の分節化により物語領域と評価領域を区分し、言語越境者に共通する「周辺性」意識をめぐる経験のカテゴリー化を行うことによって、外国語学習者が、部分的能力の発動とアイデンティティ戦略の関係を意識化し、ネイティブ基準に限定されない多様な外国語学習目標を見いだせるように、言語ポートフォリオ上の指標キーワードとして工夫、提案する。
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Research Products
(3 results)