Research Abstract |
申請者らのこれまでの研究成果から,プランニングがなく,なおかつ話す内容を考える余裕がない状況下においては,TOEICなどで測定される言語習熟度と同様程度に,不安感や自己効力感などの心理的要因も学習者のスピーキングに影響を与えることが明らかになっている。平成22年度は,Levelt(1999)のスピーチプロダクションモデルを基盤とし,上記の心理的要因がスピーキングプロセスのどの段階に,どの程度の影響を与えているのかを調べるため以下の実験を行った。 実験の目的:Leveltのプロダクションモデルに基づき,心理的要因がとりわけ概念化と形式化のプロセスとどのような関連を持っているのかを明らかにする。 実験協力者:大学生60名 実験方法:スピーキングタスクの発話分析と心理的要因に関する質問紙を使った調査 実験内容:実験協力者をTOEICなどの外部英語能力試験の点数により,言語習熟度がほぼ等しい4グループに分けた。A,Bのグループには,概念化を容易にする手続きを行い,C,Dには行わなかった。同様に,A,Cのグループには,形式化を容易にする手続きを行い,B,Dには行わなかった。A,B,C,Dの各グループに属する協力者は,プランニングがなく,なおかつ話す内容を考える余裕がない状況下のもと,制限時間3分以内に4枚の絵を見て物語を作るというスピーキングタスクを行った(内容は録音・録画する)。スピーチは,文字化し,発話分析を行った。また,タスク終了後に,心理的要因に関する質問紙調査を実施した。 実験結果:実験結果については,現在分析中であるが,心理的要因は,スピーチプロダクションモデルの形式化に影響を与えているようであることがわかった。さらに詳しく分析するために被験者にインタビューをする必要があるのではないかと現在話し合っている。
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