Research Abstract |
平成22年度に実施した実験で得られた研究成果を踏まえ,心理的要因を組み込んだスピーチプロダクションモデルを構築し,その妥当性を大学生に調査協力者になってもらい検証した。現在までの実験より,心理的要因が言語の概念化に強く影響を与えていると考え,被検者を実験群と統制群に分けて異なった2種類の実験をした。一つ目の実験では,実験群は,4枚の絵から構成される物語の順序をばらばらになったものを並び変えて物語を作り,統制群は正常に並んでいる絵に基づいて物語を作った。この結果では,物語の筋があまり難しくないことが要因であると思われるが,実験群と統制群にスピーチの正確さ,流暢さ,複雑さにおいて,統計的に差は見つけられなかった。その結果をみて,実験を考え直し,二つ目の実験では,実験群は4枚の絵から2枚を抜き取り,自分でその抜けている部分の物語を作り,統制群は正常に並んでいる絵に基づいて物語を作った。この実験結果については,引き続き詳細に分析中ではあるが,今年度,被検者にインタビュー調査も実施する予定であり,概念化が即興のスピーチにおいて重要な役割を果たしていることを量的調査,質的調査からの両面から証明できるのではないかと考えている。 一方,今までの量的調査の実験を通して,心理的要因が準備なして話す場合に非常に重要な役割をはたしており,特にスピーチの流暢さに影響を与えることが分かった。この結果を中心に,英語能力試験に基づく習熟度はスピーチの正確さと特に関係していることなどをまとめ,国際ジャーナルに応募した。審査結果については,まだわからないが、査読者のコメントなどもらい,修整すべきところは修整し,引き続き国際ジャーナルに応募する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りに研究は進んでいる。ただし,前述したが,一つ目の実験では、統制群と実験群に差が出なかったことから実験の手法を考え直し,2つ目の実験を行った分,予想以上に時間と労力がかかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では,情意要因や認知要因が即興のスピーチに与える影響を調査するために,量的調査を中心に行ってきたが,今後は,その結果をさらに説得性のあるものにするために,被検者にインタビューをして質的調査を行う。
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